10 改善
10.1 一般
組織は,改善の機会(箇条9 参照)を決定し,労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を達
成するために,必要な取組みを実施しなければならない。
10.2 インシデント,不適合及び是正処置
組織は,報告,調査及び処置を含めた,インシデント及び不適合を決定し,管理するためのプロセスを
確立し,実施し,かつ,維持しなければならない。
インシデント又は不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。
a) そのインシデント又は不適合に遅滞なく対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
1) そのインシデント又は不適合を管理し,修正するための処置をとる。
2) そのインシデント又は不適合によって起こった結果に対処する。
b) そのインシデント又は不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,働く人(5.4 参照)
を参加させ,他の関係する利害関係者を関与させて,次の事項によって,そのインシデント又は不適
合の根本原因を除去するための是正処置をとる必要性を評価する。
1) そのインシデントを調査し又は不適合をレビューする。
2) そのインシデント又は不適合の原因を究明する。
3) 類似のインシデントが起きたか,不適合の有無,又は発生する可能性があるかを明確にする。
c) 必要に応じて,労働安全衛生リスク及びその他のリスクの既存の評価をレビューする(6.1 参照)。
d) 管理策の優先順位(8.1.2 参照)及び変更の管理(8.1.3 参照)に従い,是正処置を含めた,必要な処置
を決定し,実施する。
e) 処置を実施する前に,新しい又は変化した危険源に関連する労働安全衛生リスクの評価を行う。
f) 是正処置を含めて,全ての処置の有効性をレビューする。
g) 必要な場合には,労働安全衛生マネジメントシステムの変更を行う。
是正処置は,検出されたインシデント又は不適合のもつ影響又は起こり得る影響に応じたものでなけれ
ばならない。
組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
- インシデント又は不適合の性質,及びとった処置
- とった処置の有効性を含めた全ての対策及び是正処置の結果
組織は,この文書化した情報を,関係する働く人及び働く人の代表(いる場合)並びにその他の関係す
る利害関係者に伝達しなければならない。
注記 インシデントの遅滞のない報告及び調査は,できるだけ速やかな危険源の除去及び付随する労
働安全衛生リスクの最小化を可能にすることができる。
10.3 継続的改善
組織は,次の事項によって,労働安全衛生マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を継続的
に改善しなければならない。
a) 労働安全衛生パフォーマンスを向上させる。
b) 労働安全衛生マネジメントシステムを支援する文化を推進する。
c) 労働安全衛生マネジメントシステムの継続的改善のための処置の実施に働く人の参加を推進する。
d) 継続的改善の関連する結果を,働く人及び働く人の代表(いる場合)に伝達する。
e) 継続的改善の証拠として,文書化した情報を維持し,保持する。