7 支援
7.1 資源
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を決定し,提供する。
7.2 力量
組織は,次の事項を行う。
a) 組織の労働安全衛生パフォーマンスに影響を与える,又は与え得る働く人に必要な力量を決定する。
b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,働く人が(危険源を特定する能力を含めた)力量を備えてい
ることを確実にする。
c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付け,維持するための処置をとり,とった処置の有効性
を評価する。
d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
注記 適用する処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,
配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結など
もあり得る。
7.3 認識
働く人に,次の事項に関する認識を行う。
a) 労働安全衛生方針及び労働安全衛生目標
b) 労働安全衛生パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,労働安全衛生マネジメントシステ
ムの有効性に対する自らの貢献
c) 労働安全衛生マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味及び起こり得る結果
d) 働く人に関連するインシデント及びその調査結果
e) 働く人に関連する危険源,労働安全衛生リスク及び決定した取組み
f) 働く人が生命又は健康に切迫して重大な危険があると考える労働状況から,働く人が自ら逃れること
ができること及びそのような行動をとったことによる不当な結果から保護されるための取決め
7.4 コミュニケーション
7.4.1 一般
組織は,次の事項の決定を含む,労働安全衛生マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュ
ニケーションに必要なプロセスを確立し,実施し,維持する。
a) コミュニケーションの内容
b) コミュニケーションの実施時期
c) コミュニケーションの対象者
1) 組織内部の様々な階層及び部門に対して
2) 請負者及び職場の来訪者に対して
3) 他の利害関係者に対して
d) コミュニケーションの方法
組織は,コミュニケーションの必要性を検討するに当たって,多様性の側面(例えば,性別,言語,文
化,識字,心身の障害)を考慮に入れる。
組織は,コミュニケーションのプロセスを確立するに当たって,関係する外部の利害関係者の見解が確
実に考慮させる。
コミュニケーションのプロセスを確立するとき,組織は,次の事項を行う。
- 法的要求事項及びその他の要求事項を考慮に入れる。
- コミュニケーションする労働安全衛生情報が,労働安全衛生マネジメントシステムにおいて作成する
情報と整合し,信頼性があることを確実にする。
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムについて関連するコミュニケーションに対応する。
組織は,必要に応じて,コミュニケーションの証拠として,文書化した情報を保持する。
7.4.2 内部コミュニケーション
組織は,次の事項を行う。
a) 必要に応じて,労働安全衛生マネジメントシステムの変更を含め,労働安全衛生マネジメントシステ
ムに関連する情報について,組織の様々な階層間及び機能間で内部コミュニケーションを行う。
b) コミュニケーションプロセスが,継続的改善への働く人の寄与を可能にすることを確実にする。
7.4.3 外部コミュニケーション
組織は,コミュニケーションプロセスによって確立したとおりに,かつ,法的要求事項及びその他の要
求事項を考慮に入れ,労働安全衛生マネジメントシステムに関連する情報について外部コミュニケーショ
ンを行う。
7.5 文書化した情報
7.5.1 一般
組織の労働安全衛生マネジメントシステムは,次の事項を含む。
a) この規格が要求する文書化した情報
b) 労働安全衛生マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報
注記 労働安全衛生マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次のような理由によっ
て,それぞれの組織で異なる場合がある。
- 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類
- 法的要求事項及びその他の要求事項を満たしていることを実証する必要性
- プロセス及びその相互作用の複雑さ
- 働く人の力量
7.5.2 作成及び更新
文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
7.5.3 文書化した情報の管理
労働安全衛生マネジメントシステム及びこの規格で要求している文書化した情報は,次の事項を確実に
するために,管理しなければならない。
a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能,かつ,利用に適した状態である。
b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失か
らの保護)。
文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の活動に取り組む。
- 配付,アクセス,検索及び利用
- 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存
- 変更の管理(例えば,版の管理)
- 保持及び廃棄
労働安全衛生マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化し
た情報は,必要に応じて識別し,管理する。
注記1 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化した情報の閲覧
及び変更の許可並びに権限に関する決定を意味し得る。
注記2 関連する文書化した情報のアクセスには,働く人及び働く人の代表(いる場合)によるアク
セスが含まれる。