iso45001内部監査要求事項

9.2.2 ー般
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で,内部監査を実施しなければならない。
a)次の事項に適合している。
1)労働安全衛生方針及び労働安全衛生目標を含む,労働安全衛生マネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項
2)この規格の要求事項
b)有効に実施され,維持されている。

9.2.2内部監査プログラム
組織は,次に示す事項を行わなければならない。
a)頻度,方法,責任,協議及び計画要求事項及び報告を含む,監査プログラムの計画,確立,実施及び維持。監査プログラムは,関連するプロセスの重要性及び前回までの監査の結果を考慮に入れなければならない。
b)各監査について,監査基準及び監査範囲を明確にする。
c)監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために,力量のある監査員を選定し,監査を実施する。
d) 監査の結果を関連する管理者に報告することを確実にする。関連する監査結果が,労働者及び労働者の代表(いる場合),並びに他の関係する利害関係者に報告されることを確実にする。
e) 不適合に取り組むための処置を取り,労働安全衛生パフォーマンスを継続的に向上させる(箇条10参照)。
f) 監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,文書化した情報を保持する。
注記 監査及び監査員に関する詳しい情報は,JIS Q 19011を参照のこと。

iso45001マニュアルの内部監査

9.2 内部監査
 内部監査の実施について、「労働安全衛生管理規定 第11章 内部監査」に従って行う。
9.2.1 一般
(1)内部監査は,次のために行います。
当社の労働安全衛生マネジメントシステムが,労働安全衛生方針,労働安全衛生目標などの計画された取り決めならびにJIS Q 45001(ISO45001)の規格要求事
項に適合しているか、また有効(適切)に実施,維持されているかを社長に報告するために行います。
(2)内部監査はマネジメントレビュー(9.3項)と同様,「あらかじめ定められた間隔」で実施することが要求されていますので、当社は,「内部監査年間スケジュール」に計画し、毎年一回(9月)行います。なお、社長又は管理責任者が必要と判断した場合は,臨時的にも実施します。
9.2.2 内部監査プログラム
(1)年間監査計画(プログラム)は,監査対象部署・活動について労働安全衛生上の重要性と前回までの監査の結果に基づいて計画します。
(2)監査手順には次のものを含みます。
①監査計画の立案 「内部監査年間スケジュール」「内部監査実施計画書」,
 「内部監査チェックリスト」
監査実施,監査結果の社長への報告「内部監査報告書」
監査記録の保存について,管理責任者が責任をもちます。
②監査基準,監査の範囲
監査員の選定と監査の実施に当たり,内部監査の客観性・公平性を担保できるシステムを作ります。
(3)内部監査員の資格及び登録
  内部監査員は、社内外の内部監査員養成コースに参加し、修了し、社内の内部監査員認定試験に合格し,管理責任者が認定した人を内部監査員とする。

 但し、今まで内部監査員の資格を有する人においては、ISO45001:2018の社内外の内部
監査員養成コースに参加し、修了し、差分認定試験に合格して管理責任者が認定したものとする。また内部監査員については、任命書の発行及び「有資格者一覧表」に登録する。
(4)文書化した情報「労働安全衛生管理規定 第11章 内部監査」
       「内部監査員年間スケジュール表9.2-01」「内部監査実施計画書9.2-01」
「内部監査チェックリスト9.2-02」「内部監査報告書 9.2-03」
「是正処置報告書10.2-02」「資格者一覧表7.1-04」

危険源の特定

危険源を特定し(箇条6.1.2.1)、そこから生じる安全
衛生リスクを評価し(箇条6.1.2.2)、その結果に基づき取り組むリスクを決定し(箇
条6.1.1)、そのリスクに対処するための取組み(措置)を決める(箇条6.1.4)

IS045001の文書及び記録

IS045001においては、必要と考えられる「文書類」や「記録」を文書化した情報として作成し保管することを要求している。

文書化した情報は、以下の理由から、労働安全衛生マネジメントシステムを適切に運用するために必要で
ある。
① 組織全体で共通の内容とし、社内で決めたことがいつでも実施され、その実施した記録が確実採られるようにする
② 人事異動等があっても後任者に確実に内容が引き継がれ,周知され、会社として継続的に適切な労働安全衛生マネジメントシステムの運用が可能にする
③ 労働安全衛生マネジメントシステムの運用状況の評価、改善が適切に行えるようにする

労働安全衛生マネジメントシステムの目的

労働安全衛生マネジメントシステムの目的は、労働安全衛生リスク及び労働安全
衛生機会を管理するための枠組みを提供することである。
労働安全衛生マネジメントシステムの狙い及び意図した成果は、働く人の労働に関係する負傷及び疾病を防止すること、及び安全で健康的な職場を提供することである。

① 労働安全衛生マネジメントシステムの目的は安全衛生管理の仕組みを作ること。

② 労働安全衛生マネジメントシステムの狙い,意図した成果は、「働く人の労働に関係する負傷及び疾病の防止」および「安全で健康的な職場の提供」である。

事業者が労働者の協力の下に一連の過程(PDCAサイクル)を定めて継続的に行う自主的な
安全衛生活動を促進することにより、労働災害の防止を図るとともに、労働者の健康の
増進及び快適な職場環境の形成の促進を図り、もって事業場における安全衛生の水準の向上に資すること。

労働安全衛生マネジメントシステムの運用

労働安全衛生マネジメントシステムの運用により安全衛生水準が向上することは,
①安全衛生管理の仕組みが標準化され、実施すべき活動が明確になったこと、
②社長の考えが安全衛生目標,計画に反映されたこと
③内部監査により、活動結果の評価が行われ、次年度の活動のレベルアップにつながったこと。
④ISO45001の認証を受けたことにより、それ以降,更新を重ねることに労働災害が減少し、安全衛生水準の向上につながる。

IS045001に特徴的な要求事項

ア 組織及びその状況の理解(箇条4.1)
労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定すること。

イ 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解(箇条4.2)
働く人に加えて、労働安全衛生マネジメントシステムに関するその他の利害関係者のニーズ及び期待を決定することが求められる。

ウ 安全衛生リスク及び労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他のリスクの評価(箇条6.1.2.2)
IS045001で取り上げられているリスクは「安全衛生リスク」と「労働安全衛生マネジメントシステムに関するその他のリスク」の2つである。

工 安全衛生機会及び労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他の機会の評価(箇条6.1.2.3)
lS045001では「安全衛生機会」と「労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他の機会」の2つの機会について要求事項としている。なお、「労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他の機会」とは、「労働安全衛生マネジメントシステムを改善する機会」を意味している。

オ リーダーシップ及びコミットメント(箇条5.1)
労働安全衛生マネジメントシステムの成否は組織の社長にかかっていることから、労働災害の防止や安全で健康的な職場の提供について全体的な責任及び説明責任を負うこと、労働安全衛生マネジメントシステムを事業プロセスに統合させること等、13の要求事項が社長に求められる。

力 働く人の協議及び参加(箇条5.4)
働く人の協議及び参加はIS045001独自の要求事項で、他のISOマネジメント
規格には見られない項目である。働く人の定義には社長や管理職も含まれることから、
lS045001では非管理職との協議と参加に関する要求事項も規定しており、現場で働く人の意見を労働安全衛生マネジメントシステムに反映することを重要にしている。

ISO45001マネジメントシステムの活用

労働安全衛生のノウハウの継承
事業場では、安全衛生パトロール、ヒヤリ・八ット報告、危険予知(KY)
活動など、さまざまな安全衛生活動により、職場に密着した労働災害防止活
動が進められてきた。
しかしながら、超少子高齢化や経済状況の変化、さらには労働災害による
被災者数の減少により、専門の組織や担当者を維持することが難しくなり、
安全衛生管理経験が未熟であったり関心が低かったりする者が兼任で担当す
るなど、これまでの安全衛生対策が継続されにくくなる状況にある。
これらに対応していくため、労働安全衛生のノウ八ウを組織的に引き継いでいく
ことができるようなISO45001マネジメントシステムの取組みや仕組みが必要な時代を迎えている。

ISO45001構築の仕方

ISO45001を,どの程度まで実施するかは、外部及び内部の課題、働く人及びその他
の利害関係者の二―ズ及び期待などを考慮し、組織のISO45001を活用する目的(意図した成果)や、組織の規模や構成、業種・業態による安全衛生リスクの程度、
これまでの安全衛生の取組みの実態などにより計画することになる

ISO45001の適用範囲

適用範囲とはIS045001が網羅している範囲を示し、
労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定(箇条43)では,IS045001を運用する組織の物理的な範囲(企業全体、事業所等)を表している。

引用規格

引用規格とは、ISO45001規格の一部を構成するために必要なlSO規格やJlS規格を
指す。IS045001は引用規格がない。

労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針

労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針

 (目的)
第一条 この指針は、事業者が労働者の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活
 動を促進することにより、労働災害の防止を図るとともに、労働者の健康の増進及び快適な職場環境の
 形成の促進を図り、もって事業場における安全衛生の水準の向上に資することを目的とする。

第二条 この指針は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号。以下「法」という。)の規定に基
 づき機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため事業者が講ずべき具体的な措置を
 定めるものではない。

 (定義)
第三条 この指針において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 労働安全衛生マネジメントシステム 事業場において、次に掲げる事項を体系的かつ継続的に実施
  する安全衛生管理に係る一連の自主的活動に関する仕組みであって、生産管理等事業実施に係る管理
  と一体となって運用されるものをいう。
   イ 安全衛生に関する方針(以下「安全衛生方針」という。)の表明
   口 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置
   ハ 安全衛生に関する目標(以下「安全衛生目標」という。)の設定
   二 安全衛生に関する計画(以下「安全衛生計画」という。)の作成、実施、評価及び改善
 二 システム監査 労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置が適切に実施されているかど
  うかについて、安全衛生計画の期間を考慮して事業者が行う調査及び評価をいう。

 (適用)
第四条 労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置は、事業場を一の単位として実施すること
 を基本とする。ただし、建設業に属する事業の仕事を行う事業者については、当該仕事の請負契約を締
 結している事業場及び当該事業場において締結した請負契約に係る仕事を行う事業場を併せて一の単位
 として実施することを基本とする。

 (安全衛生方針の表明)
第五条 事業者は、安全衛生方針を表明し、労働者及び関係請負人その他の関係者に周知させるものとす
 る。
2 安全衛生方針は、事業場における安全衛生水準の向上を図るための安全衛生に関する基本的考え方を
 示すものであり、次の事項を含むものとする。
 一 労働災害の防止を図ること。
 二 労働者の協力の下に、安全衛生活動を実施すること。
 三 法又はこれに基づく命令、事業場において定めた安全衛生に関する規程(以下「事業場安全衛生規
  程」という。)等を遵守すること。
 四 労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施すること。

 (労働者の意見の反映)
第六条 事業者は、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たり、安全
 衛生委員会等(安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会をいう。以下同じ。)の活用等労働者の意
 見を反映する手順を定めるとともに、この手順に基づき、労働者の意見を反映するものとする。

 (体制の整備)
第七条 事業者は、労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施する体制を整備す
 るため、次の事項を行うものとする。
 一 システム各級管理者(事業場においてその事業の実施を統括管理する者及び生産・製造部門、安全
  衛生部門等における部長、課長、係長、職長等の管理者又は監督者であって、労働安全衛生マネジメ
  ントシステムを担当するものをいう。以下同じ。)の役割、責任及び権限を定めるとともに、労働者
  及び関係請負人その他の関係者に周知させること。
 ニ システム各級管理者を指名すること。
 三 労働安全衛生マネジメントシステムに係る人材及び予算を確保するよう努めること。
 四 労働者に対して労働安全衛生マネジメントシステムに関する教育を行うこと。
 五 労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置の実施に当たり、安全衛生委員会等を活用す
  ること。

 (明文化)
第八条 事業者は、次の事項を文書により定めるものとする。
 一 安全衛生方針
 二 システム各級管理者の役割、責任及び権限
 三 安全衛生目標
 四 安全衛生計画
 五 第六条、次項、第十条、第十三条、第十五条第一項、第十六条及び第十七条第一項の規定に基づき
  定められた手順
2 事業者は、前項の文書を管理する手順を定めるとともに、この手順に基づき、当該文書を管理するも
 のとする。

 (記録)
第九条 事業者は、安全衛生計画の実施状況、システム監査の結果等労働安全衛生マネジメントシステム
 に従って行う措置の実施に関し必要な事項を記録するとともに、当該記録を保管するものとする。

 (危険性又は有害性等の調査及び実施事項の決定)
第十条 事業者は、法第二十八条の二第二項に基づく指針に従って危険性又は有害性等を調査する手順を
 定めるとともに、この手順に基づき、危険性又は有害性等を調査するものとする。
2 事業者は、法又はこれに基づく命令、事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項及び前項の調査
 の結果に基づき労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を決定する手順を定めるとともに、
 この手順に基づき、実施する措置を決定するものとする。

 (安全衛生目標の設定)
第十一条 事業者は、安全衛生方針に基づき、次に掲げる事項を踏まえ、安全衛生目標を設定し、当該目
 標において一定期間に達成すべき到達点を明らかとするとともに、当該目標を労働者及び関係請負人そ
 の他の関係者に周知するものとする。
 一 前条第一項の規定による調査結果
 二 過去の安全衛生目標の達成状況

 (安全衛生計画の作成)
第十二条 事業者は、安全衛生目標を達成するため、事業場における危険性又は有害性等の調査の結果等
 に基づき、一定の期間を限り、安全衛生計画を作成するものとする。
2 安全衛生計画は、安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定めるものであ
 り、次の事項を含むものとする。
 一 第十条第二項の規定により決定された措置の内容及び実施時期に関する事項
 二 日常的な安全衛生活動の実施に関する事項
 三 安全衛生教育の内容及び実施時期に関する事項
 四 関係請負人に対する措置の内容及び実施時期に関する事項
 五 安全衛生計画の期間に関する事項
 六 安全衛生計画の見直しに関する事項

 (安全衛生計画の実施等)
第十三条 事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施する手順を定めるとともに、この手順に基づ
 き、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施するものとする。
2 事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施するために必要な事項について労働者及び関係請負
 人その他の関係者に周知させる手順を定めるとともに、この手順に基づき、安全衛生計画を適切かつ継
 続的に実施するために必要な事項をこれらの者に周知させるものとする。

 (緊急事態への対応)
第十四条 事業者は、あらかじめ、労働災害発生の急迫した危険がある状態(以下「緊急事態」という。)
 が生ずる可能性を評価し、緊急事態が発生した場合に労働災害を防止するための措置を定めるとともに、
 これに基づき適切に対応するものとする。

 (日常的な点検、改善等)
第十五条 事業者は、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する手順を定めるととも
 に、この手順に基づき、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施するものとする。
2 事業者は、次回の安全衛生計画を作成するに当たって、前項の日常的な点検及び改善並びに次条の調
 査等の結果を反映するものとする。

 (労働災害発生原因の調査等)
第十六条 事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握
 及び改善を実施する手順を定めるとともに、労働災害、事故等が発生した場合には、この手順に基づき、
 これらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施するものとする。

 (システム監査)
第十七条 事業者は、定期的なシステム監査の計画を作成し、第五条から前条までに規定する事項につい
 てシステム監査を適切に実施する手順を定めるとともに、この手順に基づき、システム監査を適切に実
 施するものとする。
2 事業者は、前項のシステム監査の結果、必要があると認めるときは、労働安全衛生マネジメントシス
 テムに従って行う措置の実施について改善を行うものとする。

 (労働安全衛生マネジメントシステムの見直し)
第十八条 事業者は、前条第一項のシステム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメント
 システムの妥当性及び有効性を確保するため、安全衛生方針の見直し、この指針に基づき定められた手
 順の見直し等労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行うものとする。

労働安全衛生法第28条の2第2項の規定に基づく危険性又は有害性等の調査等に関する指針に関する公示

危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第1号
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条の2第2項の規定に基づき、危険性又は有害性等の調
査等に関する指針を次のとおり公表する。
 平成18年3月10日

1 名称 危険性又は有害性等の調査等に関する指針

2 趣旨 本指針は、労働安全衛生法第28条の2第1項の規定に基づく措置の基本的な考え方及び実施
 事項について定めたものであり、その適切かつ有効な実施を図ることにより、事業者による自主的な
 安全衛生活動への取組を促進することを目的とするものである。

3 内容の閲覧 内容は、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課及び都道府県労働局労働基準部安全
 主務課において閲覧に供する。

4 その他 本指針は、平成18年4月1日から適用する。
危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第1号
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条の2第2項の規定に基づき、危険性又は有害性等の調
査等に関する指針を次のとおり公表する。
 平成18年3月10日

1 名称 危険性又は有害性等の調査等に関する指針

2 趣旨 本指針は、労働安全衛生法第28条の2第1項の規定に基づく措置の基本的な考え方及び実施
 事項について定めたものであり、その適切かつ有効な実施を図ることにより、事業者による自主的な
 安全衛生活動への取組を促進することを目的とするものである。

3 内容の閲覧 内容は、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課及び都道府県労働局労働基準部安全
 主務課において閲覧に供する。

4 その他 本指針は、平成18年4月1日から適用する。
危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第1号
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条の2第2項の規定に基づき、危険性又は有害性等の調
査等に関する指針を次のとおり公表する。
 平成18年3月10日

1 名称 危険性又は有害性等の調査等に関する指針

2 趣旨 本指針は、労働安全衛生法第28条の2第1項の規定に基づく措置の基本的な考え方及び実施
 事項について定めたものであり、その適切かつ有効な実施を図ることにより、事業者による自主的な
 安全衛生活動への取組を促進することを目的とするものである。

3 内容の閲覧 内容は、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課及び都道府県労働局労働基準部安全
 主務課において閲覧に供する。

4 その他 本指針は、平成18年4月1日から適用する。

危険性又は有害性等の調査等に関する指針

1 趣旨等
  生産工程の多様化・複雑化が進展するとともに、新たな機械設備・化学物質が導入されていること等
 により、労働災害の原因が多様化し、その把握が困難になっている。
  このような現状において、事業場の安全衛生水準の向上を図っていくため、労働安全衛生法(昭和4
 7年法律第57号。以下「法」という。)第28条の2第1項において、労働安全衛生関係法令に規定
 される最低基準としての危害防止基準を遵守するだけでなく、事業者が自主的に個々の事業場の建設物、
 設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等
 の調査(以下単に「調査」という。)を実施し、その結果に基づいて労働者の危険又は健康障害を防止
 するため必要な措置を講ずることが事業者の努力義務として規定されたところである。
  本指針は、法第28条の2第2項の規定に基づき、当該措置が各事業場において適切かつ有効に実施
 されるよう、その基本的な考え方及び実施事項について定め、事業者による自主的な安全衛生活動への
 取組を促進することを目的とするものである。
  また、本指針を踏まえ、特定の危険性又は有害性の種類等に関する詳細な指針が別途策定されるもの
 とする。詳細な指針には、「化学物質等による労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置に
 関する指針」、機械安全に関して厚生労働省労働基準局長の定めるものが含まれる。
  なお、本指針は、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(平成11年労働省告示第5
 3号)に定める危険性又は有害性等の調査及び実施事項の特定の具体的実施事項としても位置付けられ
 るものである。

2 適用
  本指針は、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因す
 る危険性又は有害性(以下単に「危険性又は有害性」という。)であって、労働者の就業に係る全ての
 ものを対象とする。

3 実施内容
  事業者は、調査及びその結果に基づく措置(以下「調査等」という。)として、次に掲げる事項を実
 施するものとする。
 (1) 労働者の就業に係る危険性又は有害性の特定
 (2) (1)により特定された危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及
    び発生する可能性の度合(以下「リスク」という。)の見積り
 (3) (2)の見積りに基づくリスクを低減するための優先度の設定及びリスクを低減するための措置
    (以下「リスク低減措置」という。)内容の検討
 (4) (3)の優先度に対応したリスク低減措置の実施

4 実施体制等
 (1) 事業者は、次に掲げる体制で調査等を実施するものとする。
    ア 総括安全衛生管理者等、事業の実施を統括管理する者(事業場トップ)に調査等の実施を統
     括管理させること。
    イ 事業場の安全管理者、衛生管理者等に調査等の実施を管理させること。
    ウ 安全衛生委員会等(安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会をいう。)の活用等を通じ、
     労働者を参画させること。
   エ 調査等の実施に当たっては、作業内容を詳しく把握している職長等に危険性又は有害性の特
    定、リスクの見積り、リスク低減措置の検討を行わせるように努めること。
    オ 機械設備等に係る調査等の実施に当たっては、当該機械設備等に専門的な知識を有する者を
     参画させるように努めること。
 (2) 事業者は、(1)で定める者に対し、調査等を実施するために必要な教育を実施するものとする。

5 実施時期
 (1) 事業者は、次のアからオまでに掲げる作業等の時期に調査等を行うものとする。
    ア 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき。
    イ 設備を新規に採用し、又は変更するとき。
    ウ 原材料を新規に採用し、又は変更するとき。
    エ 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき。
    オ その他、次に掲げる場合等、事業場におけるリスクに変化が生じ、又は生ずるおそれのある
     とき。
     (ア) 労働災害が発生した場合であって、過去の調査等の内容に問題がある場合
     (イ) 前回の調査等から一定の期間が経過し、機械設備等の経年による劣化、労働者の入れ
        替わり等に伴う労働者の安全衛生に係る知識経験の変化、新たな安全衛生に係る知見の
        集積等があった場合
 (2) 事業者は、(1)のアからエまでに掲げる作業を開始する前に、リスク低減措置を実施すること
    が必要であることに留意するものとする。
 (3) 事業者は、(1)のアからエまでに係る計画を策定するときは、その計画を策定するときにおい
    ても調査等を実施することが望ましい。

6 対象の選定
  事業者は、次により調査等の実施対象を選定するものとする。
 (1) 過去に労働災害が発生した作業、危険な事象が発生した作業等、労働者の就業に係る危険性又
    は有害性による負傷又は疾病の発生が合理的に予見可能であるものは、調査等の対象とすること。
 (2) (1)のうち、平坦な通路における歩行等、明らかに軽微な負傷又は疾病しかもたらさないと予
    想されるものについては、調査等の対象から除外して差し支えないこと。

7 情報の入手
 (1) 事業者は、調査等の実施に当たり、次に掲げる資料等を入手し、その情報を活用するものとす
    る。入手に当たっては、現場の実態を踏まえ、定常的な作業に係る資料等のみならず、非定常作
    業に係る資料等も含めるものとする。
    ア 作業標準、作業手順書等
    イ 仕様書、化学物質等安全データシート(MSDS)等、使用する機械設備、材料等に係る危
     険性又は有害性に関する情報
    ウ 機械設備等のレイアウト等、作業の周辺の環境に関する情報
    エ 作業環境測定結果等
    オ 混在作業による危険性等、複数の事業者が同一の場所で作業を実施する状況に関する情報
    カ 災害事例、災害統計等
    キ その他、調査等の実施に当たり参考となる資料等
 (2) 事業者は、情報の入手に当たり、次に掲げる事項に留意するものとする。
    ア 新たな機械設備等を外部から導入しようとする場合には、当該機械設備等のメーカーに対し、
     当該設備等の設計・製造段階において調査等を実施することを求め、その結果を入手すること。
    イ 機械設備等の使用又は改造等を行おうとする場合に、自らが当該機械設備等の管理権原を有
     しないときは、管理権原を有する者等が実施した当該機械設備等に対する調査等の結果を入手
     すること。
    ウ 複数の事業者が同一の場所で作業する場合には、混在作業による労働災害を防止するために
     元方事業者が実施した調査等の結果を入手すること。
    エ 機械設備等が転倒するおそれがある場所等、危険な場所において、複数の事業者が作業を行
     う場合には、元方事業者が実施した当該危険な場所に関する調査等の結果を入手すること。

8 危険性又は有害性の特定
 (1) 事業者は、作業標準等に基づき、労働者の就業に係る危険性又は有害性を特定するために必要
    な単位で作業を洗い出した上で、各事業場における機械設備、作業等に応じてあらかじめ定めた
    危険性又は有害性の分類に則して、各作業における危険性又は有害性を特定するものとする。
 (2) 事業者は、(1)の危険性又は有害性の特定に当たり、労働者の疲労等の危険性又は有害性へ
    の付加的影響を考慮するものとする。

9 リスクの見積り
 (1) 事業者は、リスク低減の優先度を決定するため、次に掲げる方法等により、危険性又は有害性
    により発生するおそれのある負傷又は疾病の重篤度及びそれらの発生の可能性の度合をそれぞれ
    考慮して、リスクを見積もるものとする。ただし、化学物質等による疾病については、化学物質
    等の有害性の度合及びばく露の量をそれぞれ考慮して見積もることができる。
    ア 負傷又は疾病の重篤度とそれらが発生する可能性の度合を相対的に尺度化し、それらを縦軸
     と横軸とし、あらかじめ重篤度及び可能性の度合に応じてリスクが割り付けられた表を使用し
     てリスクを見積もる方法
    イ 負傷又は疾病の発生する可能性とその重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それら
     を加算又は乗算等してリスクを見積もる方法
    ウ 負傷又は疾病の重篤度及びそれらが発生する可能性等を段階的に分岐していくことによりリ
     スクを見積もる方法
 (2) 事業者は、(1)の見積りに当たり、次に掲げる事項に留意するものとする。
    ア 予想される負傷又は疾病の対象者及び内容を明確に予測すること。
   イ 過去に実際に発生した負傷又は疾病の重篤度ではなく、最悪の状況を想定した最も重篤な負
    傷又は疾病の重篤度を見積もること。
    ウ 負傷又は疾病の重篤度は、負傷や疾病等の種類にかかわらず、共通の尺度を使うことが望ま
     しいことから、基本的に、負傷又は疾病による休業日数等を尺度として使用すること。
    エ 有害性が立証されていない場合でも、一定の根拠がある場合は、その根拠に基づき、有害性
     が存在すると仮定して見積もるよう努めること。
 (3) 事業者は、(1)の見積りを、事業場の機械設備、作業等の特性に応じ、次に掲げる負傷又は疾
    病の類型ごとに行うものとする。
    ア はさまれ、墜落等の物理的な作用によるもの
    イ 爆発、火災等の化学物質の物理的効果によるもの
    ウ 中毒等の化学物質等の有害性によるもの
    エ 振動障害等の物理因子の有害性によるもの
     また、その際、次に掲げる事項を考慮すること。
    ア 安全装置の設置、立入禁止措置その他の労働災害防止のための機能又は方策(以下「安全機
     能等」という。)の信頼性及び維持能力
    イ 安全機能等を無効化する又は無視する可能性
    ウ 作業手順の逸脱、操作ミスその他の予見可能な意図的・非意図的な誤使用又は危険行動の可
     能性

10 リスク低減措置の検討及び実施
 (1) 事業者は、法令に定められた事項がある場合にはそれを必ず実施するとともに、次に掲げる優
    先順位でリスク低減措置内容を検討の上、実施するものとする。
    ア 危険な作業の廃止・変更等、設計や計画の段階から労働者の就業に係る危険性又は有害性を
     除去又は低減する措置
   イ インターロック、局所排気装置等の設置等の工学的対策
    ウ マニュアルの整備等の管理的対策
    エ 個人用保護具の使用
 (2) (1)の検討に当たっては、リスク低減に要する負担がリスク低減による労働災害防止効果と
    比較して大幅に大きく、両者に著しい不均衡が発生する場合であって、措置を講ずることを求め
    ることが著しく合理性を欠くと考えられるときを除き、可能な限り高い優先順位のリスク低減措
    置を実施する必要があるものとする。
 (3) なお、死亡、後遺障害又は重篤な疾病をもたらすおそれのあるリスクに対して、適切なリスク
    低減措置の実施に時間を要する場合は、暫定的な措置を直ちに講ずるものとする。

11 記録
  事業者は、次に掲げる事項を記録するものとする。
 (1) 洗い出した作業
 (2) 特定した危険性又は有害性
 (3) 見積もったリスク
 (4) 設定したリスク低減措置の優先度
 (5) 実施したリスク低減措置の内容

化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針

化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針
1 趣旨等
  本指針は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の3第3項の規定に基づ
 き、事業者が、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるお
 それのあるものによる危険性又は有害性等の調査(以下「リスクアセスメント」という。)を実施し、そ
 の結果に基づいて労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置(以下「リスク低減措置」とい
 う。)が各事業場において適切かつ有効に実施されるよう、リスクアセスメントからリスク低減措置の
 実施までの一連の措置の基本的な考え方及び具体的な手順の例を示すとともに、これらの措置の実施上
 の留意事項を定めたものである。
  また、本指針は、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(平成11年労働省告示第53号)
 に定める危険性又は有害性等の調査及び実施事項の特定の具体的実施事項としても位置付けられるもの
 である。

2 適用
  本指針は、法第57条の3第1項の規定に基づき行う「第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物」
 (以下「化学物質等」という。)に係るリスクアセスメントについて適用し、労働者の就業に係る全ての
 ものを対象とする。

3 実施内容
  事業者は、法第57条の3第1項に基づくリスクアセスメントとして、(1)から(3)までに掲げる事項を、
 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第34条の2の8に基づき(5)に掲
 げる事項を実施しなければならない。また、法第57条の3第2項に基づき、法令の規定による措置を講ず
 るほか(4)に掲げる事項を実施するよう努めなければならない。
 (1) 化学物質等による危険性又は有害性の特定
 (2) (1)により特定された化学物質等による危険性又は有害性並びに当該化学物質等を取り扱う作業方
  法、設備等により業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は当該労働者の健康障害を生ずるおそれ
  の程度及び当該危険又は健康障害の程度(以下「リスク」という。)の見積り
 (3) (2)の見積りに基づくリスク低減措置の内容の検討
 (4) (3)のリスク低減措置の実施
 (5) リスクアセスメント結果の労働者への周知

4 実施体制等
 (1) 事業者は、次に掲げる体制でリスクアセスメント及びリスク低減措置(以下「リスクアセスメント
  等」という。)を実施するものとする。
  ア 総括安全衛生管理者が選任されている場合には、当該者にリスクアセスメント等の実施を統括管
   理させること。総括安全衛生管理者が選任されていない場合には、事業の実施を統括管理する者に
   統括管理させること。
  イ 安全管理者又は衛生管理者が選任されている場合には、当該者にリスクアセスメント等の実施を
   管理させること。安全管理者又は衛生管理者が選任されていない場合には、職長その他の当該作業
   に従事する労働者を直接指導し、又は監督する者としての地位にあるものにリスクアセスメント等
   の実施を管理させること。
  ウ 化学物質等の適切な管理について必要な能力を有する者のうちから化学物質等の管理を担当する
   者(以下「化学物質管理者」という。)を指名し、この者に、上記イに掲げる者の下でリスクアセス
   メント等に関する技術的業務を行わせることが望ましいこと。
  エ 安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会が設置されている場合には、これらの委員会におい
   てリスクアセスメント等に関することを調査審議させ、また、当該委員会が設置されていない場合
   には、リスクアセスメント等の対象業務に従事する労働者の意見を聴取する場を設けるなど、リス
   クアセスメント等の実施を決定する段階において労働者を参画させること。
  オ リスクアセスメント等の実施に当たっては、化学物質管理者のほか、必要に応じ、化学物質等に
   係る危険性及び有害性や、化学物質等に係る機械設備、化学設備、生産技術等についての専門的知
   識を有する者を参画させること。
  カ 上記のほか、より詳細なリスクアセスメント手法の導入又はリスク低減措置の実施に当たっての、
   技術的な助言を得るため、労働衛生コンサルタント等の外部の専門家の活用を図ることが望ましい
   こと。
 (2) 事業者は、(1)のリスクアセスメントの実施を管理する者、技術的業務を行う者等(カの外部の専門
  家を除く。)に対し、リスクアセスメント等を実施するために必要な教育を実施するものとする。

5 実施時期
 (1) 事業者は、安衛則第34条の2の7第1項に基づき、次のアからウまでに掲げる時期にリスクアセスメ
  ントを行うものとする。
  ア 化学物質等を原材料等として新規に採用し、又は変更するとき。
  イ 化学物質等を製造し、又は取り扱う業務に係る作業の方法又は手順を新規に採用し、又は変更す
   るとき。
  ウ 化学物質等による危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。具体
   的には、化学物質等の譲渡又は提供を受けた後に、当該化学物質等を譲渡し、又は提供した者が当
   該化学物質等に係る安全データシート(以下「SDS」という。)の危険性又は有害性に係る情報を変
   更し、その内容が事業者に提供された場合等が含まれること。
 (2) 事業者は、(1)のほか、次のアからウまでに掲げる場合にもリスクアセスメントを行うよう努める
  こと。
  ア 化学物質等に係る労働災害が発生した場合であって、過去のリスクアセスメント等の内容に問題
   がある場合
  イ 前回のリスクアセスメント等から一定の期間が経過し、化学物質等に係る機械設備等の経年によ
   る劣化、労働者の入れ替わり等に伴う労働者の安全衛生に係る知識経験の変化、新たな安全衛生に
   係る知見の集積等があった場合
  ウ 既に製造し、又は取り扱っていた物質がリスクアセスメントの対象物質として新たに追加された
   場合など、当該化学物質等を製造し、又は取り扱う業務について過去にリスクアセスメント等を実
   施したことがない場合
 (3) 事業者は、(1)のア又はイに掲げる作業を開始する前に、リスク低減措置を実施することが必要で
  あることに留意するものとする。
 (4) 事業者は、(1)のア又はイに係る設備改修等の計画を策定するときは、その計画策定段階において
  もリスクアセスメント等を実施することが望ましいこと。

6 リスクアセスメント等の対象の選定
  事業者は、次に定めるところにより、リスクアセスメント等の実施対象を選定するものとする。
 (1) 事業場における化学物質等による危険性又は有害性等をリスクアセスメント等の対象とすること。
 (2) リスクアセスメント等は、対象の化学物質等を製造し、又は取り扱う業務ごとに行うこと。ただし、
  例えば、当該業務に複数の作業工程がある場合に、当該工程を1つの単位とする、当該業務のうち同
  一場所において行われる複数の作業を1つの単位とするなど、事業場の実情に応じ適切な単位で行う
  ことも可能であること。
 (3) 元方事業者にあっては、その労働者及び関係請負人の労働者が同一の場所で作業を行うこと(以下
  「混在作業」という。)によって生ずる労働災害を防止するため、当該混在作業についても、リスク
  アセスメント等の対象とすること。

7 情報の入手等
 (1) 事業者は、リスクアセスメント等の実施に当たり、次に掲げる情報に関する資料等を入手するもの
  とする。
   入手に当たっては、リスクアセスメント等の対象には、定常的な作業のみならず、非定常作業も含
  まれることに留意すること。
   また、混在作業等複数の事業者が同一の場所で作業を行う場合にあっては、当該複数の事業者が同
  一の場所で作業を行う状況に関する資料等も含めるものとすること。
  ア リスクアセスメント等の対象となる化学物質等に係る危険性又は有害性に関する情報(SDS等)
  イ リスクアセスメント等の対象となる作業を実施する状況に関する情報(作業標準、作業手順書等、
   機械設備等に関する情報を含む。)
 (2) 事業者は、(1)のほか、次に掲げる情報に関する資料等を、必要に応じ入手するものとすること。
  ア 化学物質等に係る機械設備等のレイアウト等、作業の周辺の環境に関する情報
  イ 作業環境測定結果等
  ウ 災害事例、災害統計等
  エ その他、リスクアセスメント等の実施に当たり参考となる資料等
 (3) 事業者は、情報の入手に当たり、次に掲げる事項に留意するものとする。
  ア 新たに化学物質等を外部から取得等しようとする場合には、当該化学物質等を譲渡し、又は提供
   する者から、当該化学物質等に係るSDSを確実に入手すること。
  イ 化学物質等に係る新たな機械設備等を外部から導入しようとする場合には、当該機械設備等の製
   造者に対し、当該設備等の設計・製造段階においてリスクアセスメントを実施することを求め、そ
   の結果を入手すること。
  ウ 化学物質等に係る機械設備等の使用又は改造等を行おうとする場合に、自らが当該機械設備等の
   管理権原を有しないときは、管理権原を有する者等が実施した当該機械設備等に対するリスクアセ
   スメントの結果を入手すること。
 (4) 元方事業者は、次に掲げる場合には、関係請負人におけるリスクアセスメントの円滑な実施に資す
  るよう、自ら実施したリスクアセスメント等の結果を当該業務に係る関係請負人に提供すること。
  ア 複数の事業者が同一の場所で作業する場合であって、混在作業における化学物質等による労働災
   害を防止するために元方事業者がリスクアセスメント等を実施したとき。
  イ 化学物質等にばく露するおそれがある場所等、化学物質等による危険性又は有害性がある場所に
   おいて、複数の事業者が作業を行う場合であって、元方事業者が当該場所に関するリスクアセスメ
   ント等を実施したとき。

8 危険性又は有害性の特定
  事業者は、化学物質等について、リスクアセスメント等の対象となる業務を洗い出した上で、原則と
 してア及びイに即して危険性又は有害性を特定すること。また、必要に応じ、ウに掲げるものについて
 も特定することが望ましいこと。
 ア 国際連合から勧告として公表された「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)」(以
  下「GHS」という。)又は日本工業規格Z7252に基づき分類された化学物質等の危険性又は有害性(SDS
  を入手した場合には、当該SDSに記載されているGHS分類結果)
 イ 日本産業衛生学会の許容濃度又は米国産業衛生専門家会議(ACGIH)のTLV-TWA等の化学物質等のばく
  露限界(以下「ばく露限界」という。)が設定されている場合にはその値(SDSを入手した場合には、当
  該SDSに記載されているばく露限界)
 ウ ア又はイによって特定される危険性又は有害性以外の、負傷又は疾病の原因となるおそれのある危
  険性又は有害性。この場合、過去に化学物質等による労働災害が発生した作業、化学物質等による危
  険又は健康障害のおそれがある事象が発生した作業等により事業者が把握している情報があるときに
  は、当該情報に基づく危険性又は有害性が必ず含まれるよう留意すること。

9 リスクの見積り
 (1) 事業者は、リスク低減措置の内容を検討するため、安衛則第34条の2の7第2項に基づき、次に掲げ
  るいずれかの方法(危険性に係るものにあっては、ア又はウに掲げる方法に限る。)により、又はこれ
  らの方法の併用により化学物質等によるリスクを見積もるものとする。
  ア 化学物質等が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は化学物質等により当該労働者の健
   康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)及び当該危険又は健康障害の程度(重篤度)を考慮する方
   法。具体的には、次に掲げる方法があること。
   (ア) 発生可能性及び重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめ発生可能
     性及び重篤度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法
   (イ) 発生可能性及び重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを加算又は乗算等して
     リスクを見積もる方法
   (ウ) 発生可能性及び重篤度を段階的に分岐していくことによりリスクを見積もる方法
   (エ) ILOの化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)等を用いてリスクを見積も
     る方法
   (オ) 化学プラント等の化学反応のプロセス等による災害のシナリオを仮定して、その事象の発生
     可能性と重篤度を考慮する方法
  イ 当該業務に従事する労働者が化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)及び当該化学物質等の
   有害性の程度を考慮する方法。具体的には、次に掲げる方法があるが、このうち、(ア)の方法を採
   ることが望ましいこと。
   (ア) 対象の業務について作業環境測定等により測定した作業場所における化学物質等の気中濃度
     等を、当該化学物質等のばく露限界と比較する方法
   (イ) 数理モデルを用いて対象の業務に係る作業を行う労働者の周辺の化学物質等の気中濃度を推
     定し、当該化学物質のばく露限界と比較する方法
   (ウ) 対象の化学物質等への労働者のばく露の程度及び当該化学物質等による有害性を相対的に尺
     度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめばく露の程度及び有害性の程度に応じてリスク
     が割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法
  ウ ア又はイに掲げる方法に準ずる方法。具体的には、次に掲げる方法があること。
   (ア) リスクアセスメントの対象の化学物質等に係る危険又は健康障害を防止するための具体的な
     措置が労働安全衛生法関係法令(主に健康障害の防止を目的とした有機溶剤中毒予防規則(昭和
     47年労働省令第36号)、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)、四アルキル鉛中毒予防規
     則(昭和47年労働省令第38号)及び特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)の規定
     並びに主に危険の防止を目的とした労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第1に掲
     げる危険物に係る安衛則の規定)の各条項に規定されている場合に、当該規定を確認する方法。
   (イ) リスクアセスメントの対象の化学物質等に係る危険を防止するための具体的な規定が労働安
     全衛生法関係法令に規定されていない場合において、当該化学物質等のSDSに記載されている
     危険性の種類(例えば「爆発物」など)を確認し、当該危険性と同種の危険性を有し、かつ、具
     体的措置が規定されている物に係る当該規定を確認する方法
 (2) 事業者は、(1)のア又はイの方法により見積りを行うに際しては、用いるリスクの見積り方法に応
  じて、7で入手した情報等から次に掲げる事項等必要な情報を使用すること。
  ア 当該化学物質等の性状
  イ 当該化学物質等の製造量又は取扱量
  ウ 当該化学物質等の製造又は取扱い(以下「製造等」という。)に係る作業の内容
  エ 当該化学物質等の製造等に係る作業の条件及び関連設備の状況
  オ 当該化学物質等の製造等に係る作業への人員配置の状況
  カ 作業時間及び作業の頻度
  キ 換気設備の設置状況
  ク 保護具の使用状況
  ケ 当該化学物質等に係る既存の作業環境中の濃度若しくはばく露濃度の測定結果又は生物学的モニ
   タリング結果
 (3) 事業者は、(1)のアの方法によるリスクの見積りに当たり、次に掲げる事項等に留意するものとす
  る。
  ア 過去に実際に発生した負傷又は疾病の重篤度ではなく、最悪の状況を想定した最も重篤な負傷又
   は疾病の重篤度を見積もること。
  イ 負傷又は疾病の重篤度は、傷害や疾病等の種類にかかわらず、共通の尺度を使うことが望ましい
   ことから、基本的に、負傷又は疾病による休業日数等を尺度として使用すること。
  ウ リスクアセスメントの対象の業務に従事する労働者の疲労等の危険性又は有害性への付加的影響
   を考慮することが望ましいこと。
 (4) 事業者は、一定の安全衛生対策が講じられた状態でリスクを見積もる場合には、用いるリスクの見
  積り方法における必要性に応じて、次に掲げる事項等を考慮すること。
  ア 安全装置の設置、立入禁止措置、排気・換気装置の設置その他の労働災害防止のための機能又は
   方策(以下「安全衛生機能等」という。)の信頼性及び維持能力
  イ 安全衛生機能等を無効化する又は無視する可能性
  ウ 作業手順の逸脱、操作ミスその他の予見可能な意図的・非意図的な誤使用又は危険行動の可能性
  エ 有害性が立証されていないが、一定の根拠がある場合における当該根拠に基づく有害性

10 リスク低減措置の検討及び実施
 (1) 事業者は、法令に定められた措置がある場合にはそれを必ず実施するほか、法令に定められた措置
  がない場合には、次に掲げる優先順位でリスク低減措置の内容を検討するものとする。ただし、法令
  に定められた措置以外の措置にあっては、9(1)イの方法を用いたリスクの見積り結果として、ばく露
  濃度等がばく露限界を相当程度下回る場合は、当該リスクは、許容範囲内であり、リスク低減措置を
  検討する必要がないものとして差し支えないものであること。
  ア 危険性又は有害性のより低い物質への代替、化学反応のプロセス等の運転条件の変更、取り扱う
   化学物質等の形状の変更等又はこれらの併用によるリスクの低減
  イ 化学物質等に係る機械設備等の防爆構造化、安全装置の二重化等の工学的対策又は化学物質等に
   係る機械設備等の密閉化、局所排気装置の設置等の衛生工学的対策
  ウ 作業手順の改善、立入禁止等の管理的対策
  エ 化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
 (2) (1)の検討に当たっては、より優先順位の高い措置を実施することにした場合であって、当該措置
  により十分にリスクが低減される場合には、当該措置よりも優先順位の低い措置の検討まで要するも
  のではないこと。また、リスク低減に要する負担がリスク低減による労働災害防止効果と比較して大
  幅に大きく、両者に著しい不均衡が発生する場合であって、措置を講ずることを求めることが著しく
  合理性を欠くと考えられるときを除き、可能な限り高い優先順位のリスク低減措置を実施する必要が
  あるものとする。
 (3) 死亡、後遺障害又は重篤な疾病をもたらすおそれのあるリスクに対して、適切なリスク低減措置の
  実施に時間を要する場合は、暫定的な措置を直ちに講ずるほか、(1)において検討したリスク低減措
  置の内容を速やかに実施するよう努めるものとする。
 (4) リスク低減措置を講じた場合には、当該措置を実施した後に見込まれるリスクを見積もることが望
  ましいこと。

11 リスクアセスメント結果等の労働者への周知等
 (1) 事業者は、安衛則第34条の2の8に基づき次に掲げる事項を化学物質等を製造し、又は取り扱う業務
  に従事する労働者に周知するものとする。
  ア 対象の化学物質等の名称
  イ 対象業務の内容
  ウ リスクアセスメントの結果
   (ア) 特定した危険性又は有害性
   (イ) 見積もったリスク
  エ 実施するリスク低減措置の内容
 (2) (1)の周知は、次に掲げるいずれかの方法によること。
  ア 各作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けること
  イ 書面を労働者に交付すること
  ウ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記
   録の内容を常時確認できる機器を設置すること
 (3) 法第59条第1項に基づく雇入れ時教育及び同条第2項に基づく作業変更時教育においては、安衛則第
  35条第1項第1号、第2号及び第5号に掲げる事項として、(1)に掲げる事項を含めること。
   なお、5の(1)に掲げるリスクアセスメント等の実施時期のうちアからウまでについては、法第59条
  第2項の「作業内容を変更したとき」に該当するものであること。
 (4) リスクアセスメントの対象の業務が継続し(1)の労働者への周知等を行っている間は、事業者は(1)
  に掲げる事項を記録し、保存しておくことが望ましい。

12 その他
  表示対象物又は通知対象物以外のものであって、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労
 働者に危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものについては、法第28条の2に基づき、この指針に準
 じて取り組むよう努めること。

機械の包括的な安全基準に関する指針

          「機械の包括的な安全基準に関する指針」の改正について

機械の包括的な安全基準に関する指針(以下「指針」という。)については、平成13年6月1日付け基発
第501号「機械の包括的な安全基準に関する指針について」(以下「501号通達」という。)により公表し、
その周知を図ってきたところであるが、先般、労働安全衛生法(以下「法」という。)が改正され、危険
性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置の実施が努力義務化されたこと、また、機械類の安全性
に関する国際規格等が制定されたこと等を踏まえ、機械の製造段階から使用段階にわたる一層の安全確保
を図るため、同指針を別添のとおり改正したので、下記に留意の上、機械の設計、製造、改造等又は輸入
(以下「製造等」という。)を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者に対し、本指針の周知を図る
とともに、必要な指導等を行うことにより、機械による労働災害の一層の防止に努められたい。
また、関係事業者団体に対しても別紙1及び別紙2により本指針の周知等を図るよう協力を要請したので
了知されたい。
なお、501号通達は、本通達をもって廃止する。

                      記

1 指針の目的について
 指針は、すべての機械に適用できる包括的な安全確保の方策に関する基準を示したものであり、機械
の製造等を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者の両者が、この指針に従って機械の安全化を図
っていくことを目的としたものであること。
 指針においては、安全な機械の製造等及び機械の安全な使用に当たって行うべき具体的な保護方策を
示しているが、保護方策はこれに限定されるものではなく、機械の製造等を行う者及び機械を労働者に
使用させる事業者は、個々の機械の危険性又は有害性等に応じて、有効と考えられる保護方策を行うこ
とが必要であること。

2 指針に基づく機械の安全化の手順について
 本指針に基づく機械の安全化の手順は、別図に示すとおりであること。

3 機械の製造等を行う者の実施事項について
(1) 機械の製造等を行う者が実施すべき保護方策について
 ア 機械の安全化を図るためには、まず機械の製造等を行う者が、製造等を行う機械に係る危険性又は
  有害性等の調査を実施し、適切なリスクの低減が達成されているかどうかを検討し、その結果に基づ
  いて保護方策を実施することが必要であること。
 イ 保護方策の実施に当たっては、リスクの低減が確実に行われる保護方策を優先して実施することが
  重要であり、指針第2の6の(1)の優先順位に従い、機械を操作する労働者の知識、安全意識等に頼ら
  ない設備上の保護方策を優先して行うことにより、適切なリスクの低減を達成する必要があり、コス
  トが上昇する又は操作性が低下する等の理由から安易に優先順位の低い保護方策に頼ることは適当で
  はないこと。
(2) 使用上の情報の提供について
 ア 機械の安全確保の方策は、機械の製造等を行う者によって十分に行われることが原則であるが、機
  械の製造等を行う者による保護方策で除去又は低減できなかった残留リスクについては、使用上の情
  報に含めて提供すべきものとしていること。
 イ 機械を労働者に使用させる事業者が法第28条の2に規定する危険性又は有害性等の調査等を適切に
  実施するためには、機械の製造等を行う者から当該機械の使用について必要な情報が提供されること
  が不可欠であることから、指針第2の6の(1)のウに従い、機械の製造等を行う者が、当該機械を譲渡
  又は貸与される者に対し、使用上の情報を適切な方法により提供することが重要であること。

4 機械を労働者に使用させる事業者の実施事項について
(1) 機械を労働者に使用させる事業者においては、当該機械の製造等を行う者から提供される使用上の情
 報を確認し、法第28条の2の規定による機械に係る危険性又は有害性等の調査を実施するとともに、調
 査の結果に基づく適切な保護方策を検討し実施することが必要であること。
(2) 保護方策の優先順位については、指針第3の8の(1)のとおりであり、コストが上昇する又は操作性が
 低下する等の理由から安易に優先順位の低い保護方策に頼ることは適当ではないこと。
別紙1
                                        基発第0731002号
                                        平成19年7月31日

(別紙の機械を使用する関係団体の長) 殿

                                    厚生労働省労働基準局長
 
                                     

 
          「機械の包括的な安全基準に関する指針」の改正について

 労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、機械による労働災害は、休業4日以上の労働災害全体の約3割を占めており、死亡災害、身体に障
害を残す災害等重篤な災害も少なくなく、依然として労働災害防止上の重要な課題となっております。
 このような機械による労働災害を防止するため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)において、危
険性の高い機械を対象として、厚生労働大臣の定める規格を具備しなければならないこと、機械の使用に
際して労働者の危険を防止するための必要な措置を講ずべきこと等を定めるとともに、事業場内において
使用される機械は多岐にわたること等から、すべての機械に適用できる包括的な安全方策等に関する基準
として、平成13年6月に「機械の包括的な安全基準に関する指針」を公表し、その普及を図ってきたとこ
ろです。
 その後、平成17年の労働安全衛生法等の一部改正により、危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメ
ント)及びその結果に基づく措置の実施が事業者の努力義務として規定されたこと、また、機械類の安全
性に関する国際規格が制定されたこと等を踏まえて、機械による労働災害をさらに減少させていくため、
今般、別添のとおり本指針を改正しました。
 つきましては、機械による労働災害の一層の防止を図るため、貴会におかれましても、傘下の関係事業
者に対し、本指針の周知、普及について、特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。

別紙2
                                        基発第0731003号
                                        平成19年7月31日

(別紙の機械の製造を行う関係団体の長) 殿

                                    厚生労働省労働基準局長
 
                                     

 
          「機械の包括的な安全基準に関する指針」の改正について

 労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、機械による労働災害は、休業4日以上の労働災害全体の約3割を占めており、死亡災害、身体に障
害を残す災害等重篤な災害も少なくなく、依然として労働災害防止上の重要な課題となっております。
 このような機械による労働災害を防止するため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)において、危
険性の高い機械を対象として、厚生労働大臣の定める規格を具備しなければならないこと、機械の使用に
際して労働者の危険を防止するための必要な措置を講ずべきこと等を定めるとともに、事業場内において
使用される機械は多岐にわたること等から、すべての機械に適用できる包括的な安全方策等に関する基準
として、平成13年6月に「機械の包括的な安全基準に関する指針」を公表し、その普及を図ってきたところ
です。
 その後、平成17年の労働安全衛生法等の一部改正により、危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメ
ント)及びその結果に基づく措置の実施が事業者の努力義務として規定されたこと、また、機械類の安全
性に関する国際規格が制定されたこと等を踏まえて、機械による労働災害をさらに減少させていくため、
今般、別添のとおり本指針を改正しました。
 つきましては、製造段階における機械の安全化が図られることが、機械による労働災害防止上重要であ
ることから、貴会におかれましては、傘下の関係事業場に対して本指針の周知、普及について、特段の御
配慮を賜りますようお願いいたします。

陸運業における労働安全衛生マネジメントシステムガイドラインについて

陸運業における労働安全衛生マネジメントシステムガイドラインについて

労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(労働安全衛生規則第24条の2の規定に基づく指針、以下「厚生労働省指針」という。)については、関係事業者団体に対し、平成11年4月30日付け基発第293号の2をもって、その普及促進を要請したところである。
これを受け、今般、陸上貨物運送事業労働災害防止協会においては、陸上貨物運送事業において労働安全衛生マネジメントシステムの普及を図るため、厚生労働省指針に基づき、陸上貨物運送事業の固有の特性を踏まえ、必要な安全衛生管理の仕組みを示した「陸運業における労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン」を別添のとおり作成し、その普及を図ることとしているところである。
本省としても、陸上貨物運送事業の安全衛生水準の向上を図る上で、当該ガイドラインの普及が重要と考えられることから、これに対して支援等を行っていくこととしているところである。
ついては、貴職におかれても、本ガイドラインが作成されたことについて了知するとともに、今後とも、厚生労働省指針の普及・促進に努められたい。

ILOの労働安全衛生マネジメントシステムに係るガイドラインについて

ILOの労働安全衛生マネジメントシステムに係るガイドラインについて

 標記については、ILO(国際労働機関)において我が国の積極的な関与の下で、労働安全衛生マネジメントシステム(以下「マネジメントシステム」という。)に係るガイドライン(以下「ILOガイドライン」という。)の策定が進められてきたところであるが、ILO専門家会合で取りまとめられたILOガイドラインが、6月22日のILOの理事会において承認されたところである。
 我が国におけるマネジメントシステムについては、既に労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(平成11年労働省告示第53号。以下「厚生労働省指針」という。)を公表し、平成11年4月30日付け基発第293号通達により、その周知を図るとともに、適切な運用を指導しているところである。
 上記のとおりマネジメントシステムに関する国際的な基準が策定されるに至ったところであるが、その策定に当たっては、当省から担当官が専門家会合へ参加し、また厚生労働省指針も参考とされたところである。そのため、厚生労働省指針は、ILOガイドラインに合致したものとなっていることから、下記について御了知の上、ILOガイドラインが策定されたことを各事業場におけるマネジメントシステムの一層の普及・定着の一助とされたい。

1 ILOガイドラインは、ILO加盟各国がマネジメントシステムの枠組みや基準を策定する上での手引となる文書と位置付けられるものであること。

2 ILOガイドラインは、「序文」、「1 目的」、「2 国のマネジメントシステムの枠組み」、「3 事業場におけるマネジメントシステム」、「用語集」及び「参考書目録」で構成されており、その概要は別添1のとおりであること。

3 ILOガイドラインにおいては、「2.3 業種別・規模別ガイドライン」にあるとおり、業種・規模等を考慮しながら事業場や事業場集団の実情や必要性を反映するように、事業場集団等において任意にガイドラインを策定することができるとされていること。

4 ILOガイドラインの「3 事業場におけるマネジメントシステム」と厚生労働省指針との関係は、別添2のとおりであること。

事務連絡
平成13年7月3日

別紙の関係団体の長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部
計画課 国際室長

ILOの労働安全衛生マネジメントシステムに係るガイドラインについて

 標記については、ILO(国際労働機関)において我が国の積極的な関与の下で、労働安全衛生マネジメントシステム(以下「マネジメントシステム」という。)に係るガイドライン(以下「ILOガイドライン」という。)の策定が進められてきたところですが、ILO専門家会合で取りまとめられたILOガイドラインが、6月22日のILOの理事会において承認されたところであります。
 我が国におけるマネジメントシステムにつきましては、厚生労働省におきまして既に労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(平成11年労働省告示第53号。以下「厚生労働省指針」という。)を公表し、その普及に努めているところであります。
 上記のとおりマネジメントシステムに関する国際的な基準が策定されるに至ったところですが、その策定に当たっては、当省から担当官が専門家会合へ参加し、また厚生労働省指針も参考とされたところです。そのため、厚生労働省指針は、ILOガイドラインに合致したものとなっていることから、下記について御了知いただき、ILOガイドラインが策定されたことを貴団体傘下の事業場におけるマネジメントシステムの一層の普及・定着の一助としてくださるようお願い申し上げます。

1 ILOガイドラインは、ILO加盟各国がマネジメントシステムの枠組みや基準を策定する上での手引となる文書と位置付けられるものであること。

2 ILOガイドラインは、「序文」、「1 目的」、「2 国のマネジメントシステムの枠組み」、「3 事業場におけるマネジメントシステム」、「用語集」及び「参考書目録」で構成されており、その概要は別添1のとおりであること。

3 ILOガイドラインにおいては、「2.3 業種別・規模別ガイドライン」にあるとおり、業種・規模等を考慮しながら事業場や事業場集団の実情や必要性を反映するように、事業場集団等において任意にガイドラインを策定することができるとされていること。

4 ILOガイドラインの「3 事業場におけるマネジメントシステム」と厚生労働省指針との関係は、別添2のとおりであること。

労働安全衛生マネジメントシステム普及促進事業について

労働安全衛生マネジメントシステム普及促進事業について

 標記事業については、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(平成11年労働省告示第53号)の普及促進を図ることを目的として平成11年度から実施しているが、本年度においては、別添1の「労働安全衛生マネジメントシステム普及促進事業実施要綱」により実施することとしたので了知されたい。
 また、労働安全衛生マネジメントシステムの効果的な普及を図るためには、労働安全衛生マネジメントシステムのシステム監査を担当する者及び労働安全衛生マネジメントシステム構築において危険又は有害要因の特定に用いるリスクアセスメントの実務を担当する者に対し、必要な知識等を付与することが重要であることから、現在、同要綱の4の(1)に基づき、製造業等向けのシステム監査担当者向け研修テキスト及びリスクアセスメント担当者向け研修テキストの作成を行っているところである。
 今般、これらのテキストを用いて行う研修について、別添2のとおり、「システム監査担当者(製造業等)研修実施要領」を、別添3のとおり、「リスクアセスメント担当者(製造業等)研修実施要領」をそれぞれ定めたので、労働災害防止団体、その他労働災害の防止のための活動を行う団体等が当該研修を行う際には、同要領を目安として研修が実施されるよう必要な指導、援助に努められたい。
 さらに、建設業における労働安全衛生マネジメントシステムに関する研修会を建設業労働災害防止協会が行っているので、当該研修会の開催についても、指導、援助に努められたい。

建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドラインについて

建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドラインについて

 労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(労働安全衛生規則第24条の2の規定に基づく指針、以下「労働省指針」という。)については、関係事業者団体に対し、平成11年4月30日付け基発第293号の2をもって、その普及促進が要請されているところである。
 これを受け、今般、建設業労働災害防止協会においては、建設業において労働安全衛生マネジメントシステムの普及を図るため、労働省指針に基づき、建設業の固有の特性を踏まえ、必要な安全衛生管理の仕組みを示した「建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン」を別添のとおり作成し、その普及を図ることとしているところである。
 本省としても、建設業の安全衛生水準の向上を図る上で、当該ガイドラインの普及が重要と考えられることから、これに対して支援等を行っていくこととしているところである。
 ついては、このことについて了知するとともに、貴職におかれても、建設業労働災害防止協会各都道府県支部の活動の支援等により、管内の建設業において、当該ガイドラインに基づく労働安全衛生マネジメントシステムの普及を図ることに努められたい。

建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン

建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン

 このガイドラインは、労働大臣が公表した「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に基づき、建設業の固有の特性を踏まえ、必要な安全衛生管理の仕組みを示したものであり、建設事業を行う事業者が、自らの意志において、自主的に取り組むものである。
1 目的
このガイドラインは、建設事業を行う事業者が、労働者の協力の下に、店社と作業所が一体となって、「計画-実施-評価-改善」という一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動を促進することにより、建設事業場における労働災害の潜在的危険性を低減するとともに、労働者の健康の増進及び快適職場の形成の促進を図り、もって建設事業場における安全衛生水準の向上に資することを目的とする。
2 適用等
2.1 このガイドラインは、危険又は有害要因等を考慮しながら、建設業労働安全衛生マネジメントシステムを確立しようとする建設事業を行う事業者に適用し、すべての規模の建設事業場を対象とする。
2.2 このガイドラインは、建設事業場の安全衛生管理に関する仕組みを確立するための基本的事項を定めたものであり、労働安全衛生法の規定に基づき、機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため建設事業を行う事業者が講ずべき具体的な措置を定めるものではない。
3 用語と定義
このガイドラインに用いる用語と定義は、次の定めるところによる。
3.1 建設業労働安全衛生マネジメントシステム建設業労働安全衛生マネジメントシステム(以下「システム」という。)とは、建設事業場において安全衛生方針の表明、安全衛生目標の設定、安全衛生計画の作成、実施及び運用、日常的な点検及び改善、システム監査、システムの見直し等の一連の過程を定めて連続的かつ継続的に実施する安全衛生管理に関する仕組みであって、施工管理等の建設事業の実施に係る管理に関する仕組みと一体となって実施され、及び運用されるものをいう。
3.2 建設事業場
建設事業場とは、店社と作業所を統合した組織をいう。
3.3 建設事業者
建設事業者とは、建設事業場で建設事業を行う者をいう。
3.4 店社
店社とは、作業所の指導、支援及び管理業務を行う本社、支店等の組織をいう。
3.5 作業所
作業所とは、工事の施工を行う組織をいう。
3.6 安全衛生方針
1) 安全衛生方針とは、建設事業場における安全衛生水準の向上を図るために建設事業者が表明する安全衛生に関する基本的考え方をいう。
2) 工事安全衛生方針とは、作業所における安全衛生を確保するため、作業所長が表明する、施工する工事の安全衛生に関する基本的考え方をいう。
3.7 安全衛生目標
1) 安全衛生目標とは、安全衛生方針に基づいて、建設事業者が設定する一定期問内に達成すべき到達点をいう。
2) 工事安全衛生目標とは、工事安全衛生方針に基づいて、作業所長が設定する工事期間又は一定期間内において確保すべき実施事項の安全衛生の水準をいう。
3.8 安全衛生計画
1) 安全衛生計画とは、建設事業者が建設事業場における危険又は有害要因等を踏まえ、一定の期間を限り、安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定める計画をいう。
2) 工事安全衛生計画とは、作業所長が、施工する工事における危険又は有害要因等を踏まえ、工事期間又は一定の期間を限り、工事安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定める計画をいう。
3.9 緊急事態
緊急事態とは、労働災害発生の急迫した危険がある状態をいう。
3.10 システム監査
システム監査とは、システムが適切に実施され、及び運用されているかどうかについて、安全衛生計画の期間を考慮して定期的に建設事業者が行う調査及び評価をいう。
4 システムを確立するために必要な基本的事項
建設事業場におけるシステムを確立し、適切に実施し、及び運用するため、建設事業者及び作業所長は、以下の基本的事項を実施する。
4.1 店主において必要な基本的事項
4.1.1 安全衛生方針の表明
1) 建設事業者は、建設事業場における安全衛生方針を表明し、労働者に周知させる。
2) 安全衛生方針には、次の事項を含むものとする。
(1) 労働者の協力の下に、安全衛生活動を実施すること。
(2) 労働安全衛生関係法令、建設事業場において定めた安全衛生に関する規程(以下「建設事業場安全衛生規程」という。)等を遵守すること。
(3) システムを適切に実施し、及び運用すること。
3) 建設事業者は、安全衛生方針を必要に応じて関係する事業者等に周知させる。
4.1.2 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
1) 建設事業者は、工事に伴う危険又は有害要因を特定する手順を定め、この手順に基づき、危険又は有害要因を特定する。
2) 建設事業者は、1)において特定された危険又は有害要因を、除去又は低減するために実施すべき事項を特定する手順を定め、この手順に基づき、実施すべき事項を特定する。
3) 建設事業者は、労働安全衛生関係法令、建設事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項を特定する手順を定め、この手順に基づき、実施すべき事項を特定する。
4.1.3 安全衛生目標の設定
建設事業者は、4.1.2で特定された危険又は有害要因等を踏まえ、安全衛生方針に基づき、安全衛生目標を設定する。
4.1.4 安全衛生計画の作成
建設事業者は、安全衛生目標を達成するため、4.1.2の2)及び3)で特定された実施すべき事項、安全衛生に関する行事、安全施工サイクル活動等の日常的な安全衛生活動に係る事項、作業所の指導及び支援に関する事項等を内容とする安全衛生計画を作成する。
4.1.5 労働者の意見の反映
1) 建設事業者は、安全衛生目標の設定及び安全衛生計画の作成に当たり、安全衛生委員会の活用等労働者の意見を反映する手順を定め、この手順に基づき、労働者の意見を反映する。
2) 建設事業者は、安全衛生計画の実施及び運用に当たり、労働者の意見を反映する手順を定め、この手順に基づき、労働者の意見を反映する。
4.1.6 安全衛生計画の実施及び運用等
1) 建設事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用する手順を定め、この手順に基づき、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用する。
2) 建設事業者は、安全衛生計画のうち必要な事項を労働者、関係する事業者等に周知させる手順を定め、この手順に基づき、これらの者に周知させる。
3) 建設事業者は、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用するために必要な事項について、労働者、関係する事業者等に周知させる手順を定め、この手順に基づき、安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用するために必要な事項を、これらの者に周知させる。
4) 建設事業者は、工事に使用する機械、設備、資材等の譲渡又は提供を受ける場合には、4.1.2の1)の危険又は有害要因の特定等に資するよう、必要に応じてこれらの取扱いに関する事項を記した書面を入手するよう努めるとともに、この事項のうち必要な事項を労働者、関係する事業者等に周知させる手順を定め、この手順に基づき、これらの者に周知させる。
4.1.7 作業所において必要な基本的事項に関する手順の作成等
1) 建設箏業者は、システムを適切に実施し、及び運用するため、作業所において必要な基本的事項に関する次の手順を作成する。
(1) 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
(2) 工事安全衛生計画の作成
(3) 工事安全衛生計画の実施及び運用等
(4) 労働者等の意見の反映
(5) 関係請負人の安全衛生管理能力等の評価
(6) 日常的な点検及び改善
(7) 労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善
(8) 文書化、記録及び報告
2) 建設事業者は、4.2.11の報告を踏まえ、必要に応じて1)の手順の見直しを行う。
4.1.8 システム体制の整備
建設事業者は、建設事業場におけるシステムを確立し、適正に実施し、及び運用する体制を整備するため、次の事項を行う。
(1) 建設事業場においてその事業を統括管理する者を、システム管理の最高責任者として指名し、役割、責任及び権限を定めること。
(2) システム各級管理者(店社においては、安全衛生管理部門、工事管理部門等における部長・課長・係長等の管理者、また、作業所においては、作業所長、工事主任等の管理者であって、システムを担当するものをいう。以下同じ。)を指名し、その役割、責任及び権限を定めること。
(3) システム管理の最高責任者、システム各級管理者の役割、責任及び権限を、労働者及び必要に応じて関係する事業者等に周知させること。
(4) システムの確立、実施及び運用等に必要な人材及び予算を確保するように努めること。
(5) システムの実施及び運用に当たり、安全衛生委員会等を活用すること。
4.1.9 システム教育の実施
建設事業者は、労働者に対してシステムに関する教育を実施する手順を定め、この手順に基づき、システムに関する教育を実施する。
4.1.10 関係請負人の安全衛生管理能力等の評価
1) 建設事業者は、安全衛生に関して優良な関係請負人の選定及びその育成のため、関係講負人の安全衛生管理能力等を適正に評価する手順を定め、この手順に基づき、関係請負人の安全衛生管理能力等を評価する。
2) 建設事業者は、1)において評価した結果を、次の工事等における関係請負人の選定及びその育成に反映する。
4.1.11 文書化
1) 建設事業者は、次の事項を文劃こより定める。
(1) 安全衛生方針
(2) 安全衛生目標
(3) 安全衛生計画
(4) システム管理の最高責任者及びシステム各級管理者の役割、責任及び権限
(5) 店社において必要な基本的事項に係る規定に基づき定められた手順
2) 建設事業者は、1)の文書を管理する手順を定め、この手順に基づき、これらの文書を適切に管理する。
4.1.12 緊急事態への対応
建設事業者は、工事において緊急事態が発生した場合に労働災害を防止するための措置を定める。
4.1.13 日常的な点検及び改善
1) 建設事業者は、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する手順を定め、この手順に基づき、安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する。
2) 建設事業者は、次回の安全衛生計画を作成するに当たって、日常的な点検及び改善の結果を反映する。
4.1.14 労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善
1) 建設事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順を定め、労働災害、事故等が発生した場合には、この手順に基づき、これらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する。
2) 建設事業者は、労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善の結果を、次回の安全衛生計画の作成に反映する。
4.1.15 システム監査
1) 建設事業者は、定期的なシステム監査の計画を作成し、システム監査を実施する手順を定め、この手順に基づき、システム監査を実施する。
2) 建設事業者は、システム監査の結果、必要があると認めるときは、システムの実施及び運用について改善を行う。
4.1.16 記録及びその保管
建設事業者は、安全衛生計画の実施及び運用の状況、システム監査の結果等システムの実施及び運用に関し必要な事項を記録し、この記録を適切に保管する。
4.1.17 システムの見直し
建設事業者は、システム監査の結果を踏まえ、定期的に、システムの妥当性及び有効性を確保するため、安全衛生方針の見直し、このガイドラインに基づき定められた手順の見直し等システムの全般的な見直しを行う。
4.2 作業所において必要な基本的事項
4.2.1 工事安全衛生方針の表明
1) 作業所長は、施工する工事の特性、建設事業者が定めた安全衛生方針、安全衛生目標及び安全衛生計画等を踏まえ、工事安全衛生方針を表明する。
2) 作業所長は、工事安全衛生方針を工事に関係する労働者及び関係請負人に周知させる。
4.2.2 危険又は有害要因の特定及び実施すべき事項の特定
1) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、施工する工事において予想される危険又は有害要因を特定する。
2) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、1)において特定された危険又は有害要因を除去又は低減するために実施すべき事項を特定する。
3) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、労働安全衛生関係法令、建設事業場安全衛生規程等に基づき実施すべき事項を特定する。
4.2.3 工事安全衛生目標の設定
作業所長は、4.2.2で特定された危険又は有害要因等を踏まえ、工事安全衛生方針に基づき、工事安全衛生目標を設定する。
4.2.4 工事安全衛生計画の作成
作業所長は、工事安全衛生目標を達成するため、4.1.7で定める手順を踏まえ、4.2.2の2)及び3)で特定された実施すべき事項、安全衛生に関する行事、安金施エサイクル等の日常的な安全衛生活動に関する事項等を内容とする工事安全衛生計画を作成する。
4.2.5 工事安全衛生計画の実施及び運用等
1) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事安全衛生計画を適切かつ継続的に実施し、及び運用する。
2) 作業所長は、工事安全衛生計画を実施及び運用するために必要な事項を、工事に関係する労働者及び関係請負人に周知させる。
3) 作業所長は、工事に使用する機械、設備、資材等の搬入又は持込みについて、4.1.7で定める手順を踏まえ、これらの機械、設備、資材等に関する事項を記した書面を入手し、及び確認するとともに、必要な事項を工事に関係する労働者及び関係請負人に周知させる。
4.2.6 労働者等の意見の反映
作業所長は、工事安全衛生計画の実施及び運用に当たって、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事に関係する労働者の意見を反映するとともに、関係請負人の意見を反映するよう努める。
4.2.7 関係請負人の安全衛生管理能力箸の評価
作業所長は、安全衛生に関して優良な関係請負人の選定及び育成のため、4.1.7で定める手順を踏まえ、関係諸負人の安全衛生管理能力等の評価を実施し、この結果を建設事業者に報告する。
4.2.8 緊急事態への対応
作業所長は、緊急事態が生ずる可能性を事前に評価し、4.1.12で定める措置に従って、適切に対応する。
4.2.9 日常的な点検及び改善
作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を実施する。
4.2.10 労働災害、事故等の原因の調査並びに間題点の把握及び改善
作業所長は、労働災害、事故等が発生した場合には、4.1.7で定める手順を踏まえ、労働災害、事故等の原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する。
4.2.11 文書化、記録及び報告
1) 作業所長は、次の事項を文書により定める。
(1) 工事安全衛生方針
(2) 工事安全衛生目標
(3) 工事安全衛生計画
2) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、工事安全衛生計画の実施及び運用の状況、日常的な点検及び改善の状況等、システムの実施及び運用に関し必要な事項を文書に記録する。
3) 作業所長は、4.1.7で定める手順を踏まえ、1)及び2)の文書を建設事業者に報告する。

4 組織の状況

4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
組織は,組織の目的に関連し,かつ,その労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を達成す
る組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を決定する。
4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解
組織は,次の事項を決定する。
a) 働く人に加えて,労働安全衛生マネジメントシステムに関連するその他の利害関係者
b) 働く人及びその他の利害関係者の,関連するニーズ及び期待(すなわち,要求事項)
c) それらのニーズ及び期待のうち,いずれが法的要求事項及びその他の要求事項であり,又は要求事項
になる可能性があるか。
4.3 労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲の決定
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決
定する。
この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を行う。
a) 4.1 に規定する外部及び内部の課題を考慮する。
b) 4.2 に規定する要求事項を考慮に入れる。
c) 労働に関連する,計画又は実行した活動を考慮に入れる。
労働安全衛生マネジメントシステムは,組織の管理下又は影響下にあり,組織の労働安全衛生パフォー
マンスに影響を与え得る活動,製品及びサービスを含む。
労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にする。
4.4 労働安全衛生マネジメントシステム
組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,労働安全衛生マ
ネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善する。

5 リーダーシップ及び働く人の参加

5 リーダーシップ及び働く人の参加
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
トップマネジメントは,次に示す事項によって,労働安全衛生マネジメントシステムに関するリーダー
シップ及びコミットメントを実証する。
a) 労働に関係する負傷及び疾病を防止すること,及び安全で健康的な職場と活動を提供することに対す
る全体的な責任及び説明責任を負う。
b) 労働安全衛生方針及び関連する労働安全衛生目標を確立し,それらが組織の戦略的な方向性と両立す
ることを確実にする。
c) 組織の事業プロセスへの労働安全衛生マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。
d) 労働安全衛生マネジメントシステムの確立,実施,維持及び改善に必要な資源が利用可能であること
を確実にする。
e) 有効な労働安全衛生マネジメント及び労働安全衛生マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。
f) 労働安全衛生マネジメントシステムがその意図した成果を達成することを確実にする。
g) 労働安全衛生マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を指揮し,支援する。
h) 継続的改善を確実にし,推進する。
i) その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を
支援する。
j) 労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を支援する文化を組織内で形成し,主導し,かつ,
推進する。
k) 働く人がインシデント,危険源,リスク及び機会の報告をするときに報復から擁護する。
l) 組織が働く人の協議及び参加のプロセスを確立し,実施することを確実にする(5.4 参照)。
m) 安全衛生に関する委員会の設置及び委員会が機能することを支援する[5.4 e) 1) 参照]。
注記 この規格で“事業”という場合は,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解
釈され得る。
5.2 労働安全衛生方針
トップマネジメントは,次の事項を満たす労働安全衛生方針を確立し,実施し,維持する。
a) 労働に関係する負傷及び疾病を防止するために,安全で健康的な労働条件を提供するコミットメント
を含み,組織の目的,規模及び状況に対して,また,労働安全衛生リスク及び労働安全衛生機会の固
有の性質に対して適切である。
b) 労働安全衛生目標の設定のための枠組みを示す。
c) 法的要求事項及びその他の要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
d) 危険源を除去し,労働安全衛生リスクを低減するコミットメントを含む(8.1.2 参照)。
e) 労働安全衛生マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。
f) 働く人及び働く人の代表(いる場合)の協議及び参加へのコミットメントを含む。
労働安全衛生方針は,次に示す事項を満たす。
- 文書化した情報として利用可能である。
- 組織内に伝達される。
- 必要に応じて,利害関係者が入手可能である。
- 妥当かつ適切である。
5.3 組織の役割,責任及び権限
トップマネジメントは,労働安全衛生マネジメントシステムの中の関連する役割に対して,責任及び権
限が,組織内に全ての階層で割り当てられ,伝達され,文書化した情報として維持されることを確実にする。組織の各階層で働く人は,各自が管理する労働安全衛生マネジメントシステムの側面
について責任を負う。
注記 責任及び権限は割り当てし得るが,最終的には,トップマネジメントは労働安全衛生マネジメ
ントシステムの機能に対して説明責任をもつ。
トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てる。
a) 労働安全衛生マネジメントシステムが,この規格の要求事項に適合することを確実にする。
b) 労働安全衛生マネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する。
5.4 働く人の協議及び参加
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムの開発,計画,実施,パフォーマンス評価及び改善のため
の処置について,適用可能な全ての階層及び部門の働く人及び働く人の代表(いる場合)との協議及び参
加のためのプロセスを確立し,実施し,かつ,維持する。
組織は,次の事項を行う。
a) 協議及び参加のための仕組み,時間,教育訓練及び資源を提供する。
注記1 働く人の代表制は,協議及び参加の仕組みになり得る。
b) 労働安全衛生マネジメントシステムに関する明確で理解しやすい,関連情報を適宜利用できるように
する。
c) 参加の障害又は障壁を決定して取り除き,取り除けない障害又は障壁を最小化する。
注記2 障害及び障壁には,働く人の意見又は提案への対応の不備,言語又は識字能力の障壁,報
復又は報復の脅し,及び働く人の参加の妨げ又は不利になるような施策又は慣行が含まれ
得る。
d) 次の事項に対する非管理職との協議に重点を置く。
1) 利害関係者のニーズ及び期待を決定すること(4.2 参照)。
2) 労働安全衛生方針を確立すること(5.2 参照)。
3) 該当する場合は,組織上の役割,責任及び権限を,必ず,割り当てること(5.3 参照)。
4) 法的要求事項及びその他の要求事項を満足する方法を決定すること(6.1.3 参照)。
5) 労働安全衛生目標を確立し,かつ,その達成を計画すること(6.2 参照)。
6) 外部委託,調達及び請負者に適用する管理を決定すること(8.1.4 参照)。
7) モニタリング,測定及び評価を要する対象を決定すること(9.1 参照)。
8) 監査プログラムを計画し,確立し,実施し,かつ,維持すること(9.2.2 参照)。
9) 継続的改善を確実にすること(10.3 参照)。
e) 次の事項に対する非管理職の参加に重点を置く。
1) 非管理職の協議及び参加のための仕組みを決定すること。
2) 危険源の特定並びにリスク及び機会の評価をすること(6.1.1 及び6.1.2 参照)。
3) 危険源を除去し労働安全衛生リスクを低減するための取組みを決定すること(6.1.4 参照)。
4) 力量の要求事項,教育訓練のニーズ及び教育訓練を決定し,教育訓練の評価をすること(7.2 参照)。
5) コミュニケーションの必要がある情報及び方法の決定をすること(7.4 参照)。
6) 管理方法及びそれらの効果的な実施及び活用を決定すること(8.1,8.1.3 及び8.2 参照)。
7) インシデント及び不適合を調査し,是正処置を決定すること(10.2 参照)。
注記3 非管理職への協議及び参加に重点を置く意図は,労働活動を実施する人を関与させることで
あって,例えば,労働活動又は組織の他の要因で影響を受ける管理職の関与を除くことは意
図していない。
注記4 働く人に教育訓練を無償提供すること,可能な場合,就労時間内で教育訓練を提供すること
は,働く人の参加への大きな障害を除き得ることが認識されている。

6 計画

6 計画
6.1 リスク及び機会への取組み
6.1.1 一般
労働安全衛生マネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,4.1(状況)に規定する課題,4.2
(利害関係者)に規定する要求事項及び4.3(労働安全衛生マネジメントシステムの適用範囲)を考慮し,
次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。
a) 労働安全衛生マネジメントシステムが,その意図した成果を達成できるという確信を与える。
b) 望ましくない影響を防止又は低減する。
c) 継続的改善を達成する。
組織は,取り組む必要のある労働安全衛生マネジメントシステム並びにその意図した成果に対するリス
ク及び機会を決定するときには,次の事項を考慮に入れなければならない。
- 危険源(6.1.2.1 参照)
- 労働安全衛生リスク及びその他のリスク(6.1.2.2 参照)
- 労働安全衛生機会及びその他の機会(6.1.2.3 参照)
- 法的要求事項及びその他の要求事項(6.1.3 参照)
組織は,計画プロセスにおいて,組織,組織のプロセス又は労働安全衛生マネジメントシステムの変更
に付随して,労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果に関わるリスク及び機会を決定し,評価
しなければならない。永続的か暫定的かを問わず,計画的な変更の場合は,変更を実施する前にこの評価
を行わなければならない(8.1.3 参照)。
組織は,次の事項に関する文書化した情報を維持しなければならない。
- リスク及び機会
- 計画どおりに実施されたことの確信を得るために必要な範囲でリスク及び機会(6.1.2~6.1.4 参照)を
決定し,対処するために必要なプロセス及び取組み
6.1.2 危険源の特定並びにリスク及び機会の評価
6.1.2.1 危険源の特定
組織は,危険源を現状において及び先取りして特定するためのプロセスを確立し,実施し,かつ,維持
しなければならない。プロセスは,次の事項を考慮に入れなければならないが,考慮に入れなければなら
ないのはこれらの事項だけに限らない。
a) 作業の編成の仕方,社会的要因(作業負荷,作業時間,虐待,ハラスメント及びいじめを含む。),リ
ーダーシップ及び組織の文化
b) 次から生じる危険源を含めた,定常的及び非定常的な活動及び状況
1) 職場のインフラストラクチャ,設備,材料,物質及び物理的条件
2) 製品及びサービスの設計,研究,開発,試験,生産,組立,建設,サービス提供,保守及び廃棄
3) 人的要因
4) 作業の実施方法
c) 緊急事態を含めた,組織の内部及び外部で過去に起きた関連のあるインシデント及びその原因
d) 起こり得る緊急事態
e) 次の事項を含めた人々
1) 働く人,請負者,来訪者,その他の人々を含めた,職場に出入りする人々及びそれらの人々の活動
2) 組織の活動によって影響を受け得る職場の周辺の人々
3) 組織が直接管理していない場所にいる働く人
f) 次の事項を含めたその他の課題
1) 関係する働く人のニーズ及び能力に合わせることへの配慮を含めた,作業領域,プロセス,据付,
機械・機器,作業手順及び作業組織の設計
2) 組織の管理下での労働に関連する活動に起因して生じる,職場周辺の状況
3) 職場の人々に負傷及び疾病を生じさせ得る,職場周辺で発生する,組織の管理下にない状況
g) 組織,運営,プロセス,活動及び労働安全衛生マネジメントシステムの実際の変更又は変更案(8.1.3
参照)
h) 危険源に関する知識及び情報の変更
6.1.2.2 労働安全衛生リスク及び労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他のリスクの評価
組織は,次の事項のためのプロセスを確立し,実施し,かつ,維持しなければならない。
a) 既存の管理策の有効性を考慮に入れた上で,特定された危険源から生じる労働安全衛生リスクを評価
する。
b) 労働安全衛生マネジメントシステムの確立,実施,運用及び維持に関係するその他のリスクを決定し,
評価する。
組織の労働安全衛生リスクの評価の方法及び基準は,問題が起きてから対応するのではなく事前に,か
つ,体系的な方法で行われることを確実にするため,労働安全衛生リスクの範囲,性質及び時期の観点か
ら,決定しなければならない。この方法及び基準は,文書化した情報として維持し,保持しなければなら
ない。
6.1.2.3 労働安全衛生機会及び労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他の機会の評価
組織は,次の事項を評価するためのプロセスを確立し,実施し,かつ,維持しなければならない。
a) 組織,組織の方針,そのプロセス又は組織の活動の計画的変更を考慮に入れた労働安全衛生パフォー
マンス向上の労働安全衛生機会及び,
1) 作業,作業組織及び作業環境を働く人に合わせて調整する機会
2) 危険源を除去し,労働安全衛生リスクを低減する機会
b) 労働安全衛生マネジメントシステムを改善するその他の機会
注記 労働安全衛生リスク及び労働安全衛生機会は,組織にとってのその他のリスク及びその他の機
会となることがあり得る。
6.1.3 法的要求事項及びその他の要求事項の決定
組織は,次の事項のためのプロセスを確立し,実施し,かつ,維持しなければならない。
a) 組織の危険源,労働安全衛生リスク及び労働安全衛生マネジメントシステムに適用される最新の法的
要求事項及びその他の要求事項を決定し,入手する。
b) これらの法的要求事項及びその他の要求事項の組織への適用方法,並びにコミュニケーションする必
要があるものを決定する。
c) 組織の労働安全衛生マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,継続的に改善するときに,こ
れらの法的要求事項及びその他の要求事項を考慮に入れる。
組織は,法的要求事項及びその他の要求事項に関する文書化した情報を維持し,保持し,全ての変更を
反映して最新の状態にしておくことを確実にしなければならない。
注記 法的要求事項及びその他の要求事項は,組織へのリスク及び機会となり得る。
6.1.4 取組みの計画策定
組織は,次の事項を計画しなければならない。
a) 次の事項を実行するための取組み
1) 決定したリスク及び機会に対処する(6.1.2.2 及び6.1.2.3 参照)。
2) 法的要求事項及びその他の要求事項に対処する(6.1.3 参照)。
3) 緊急事態への準備をし,対応する(8.2 参照)。
b) 次の事項を行う方法
1) その取組みの労働安全衛生マネジメントシステムのプロセス,又はその他の事業プロセスへの統合
及び実施
2) その取組みの有効性の評価
組織は,取組みの実施を計画する際に,管理策の優先順位(8.1.2 参照)及び労働安全衛生マネジメント
システムからのアウトプットを考慮に入れなければならない。
取組みを計画するとき,組織は,成功事例,技術上の選択肢,並びに財務上,運用上及び事業上の要求
事項を考慮しなければならない。
6.2 労働安全衛生目標及びそれを達成するための計画策定
6.2.1 労働安全衛生目標
組織は,労働安全衛生マネジメントシステム及び労働安全衛生パフォーマンスを維持及び継続的に改善
するために,関連する部門及び階層において労働安全衛生目標を確立しなければならない(10.3 参照)。
労働安全衛生目標は,次の事項を満たさなければならない。
a) 労働安全衛生方針と整合している。
b) 測定可能(実行可能な場合)である,又はパフォーマンス評価が可能である。
c) 次を考慮に入れている。
1) 適用される要求事項
2) リスク及び機会の評価結果(6.1.2.2 及び6.1.2.3 参照)
3) 働く人及び働く人の代表(いる場合)との協議(5.4 参照)の結果
d) モニタリングする。
e) 伝達する。
f) 必要に応じて,更新する。
6.2.2 労働安全衛生目標を達成するための計画策定
組織は,労働安全衛生目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定しなければ
ならない。
a) 実施事項
b) 必要な資源
c) 責任者
d) 達成期限
e) これには,モニタリングするための指標を含む,結果の評価方法
f) 労働安全衛生目標を達成するための取組みを組織の事業プロセスに統合する方法
組織は,労働安全衛生目標及びそれらを達成するための計画に関する文書化した情報を維持し,保持し
なければならない。

7 支援

7 支援
7.1 資源
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を決定し,提供する。
7.2 力量
組織は,次の事項を行う。
a) 組織の労働安全衛生パフォーマンスに影響を与える,又は与え得る働く人に必要な力量を決定する。
b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,働く人が(危険源を特定する能力を含めた)力量を備えてい
ることを確実にする。
c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付け,維持するための処置をとり,とった処置の有効性
を評価する。
d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
注記 適用する処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,
配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結など
もあり得る。
7.3 認識
働く人に,次の事項に関する認識を行う。
a) 労働安全衛生方針及び労働安全衛生目標
b) 労働安全衛生パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,労働安全衛生マネジメントシステ
ムの有効性に対する自らの貢献
c) 労働安全衛生マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味及び起こり得る結果
d) 働く人に関連するインシデント及びその調査結果
e) 働く人に関連する危険源,労働安全衛生リスク及び決定した取組み
f) 働く人が生命又は健康に切迫して重大な危険があると考える労働状況から,働く人が自ら逃れること
ができること及びそのような行動をとったことによる不当な結果から保護されるための取決め
7.4 コミュニケーション
7.4.1 一般
組織は,次の事項の決定を含む,労働安全衛生マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュ
ニケーションに必要なプロセスを確立し,実施し,維持する。
a) コミュニケーションの内容
b) コミュニケーションの実施時期
c) コミュニケーションの対象者
1) 組織内部の様々な階層及び部門に対して
2) 請負者及び職場の来訪者に対して
3) 他の利害関係者に対して
d) コミュニケーションの方法
組織は,コミュニケーションの必要性を検討するに当たって,多様性の側面(例えば,性別,言語,文
化,識字,心身の障害)を考慮に入れる。
組織は,コミュニケーションのプロセスを確立するに当たって,関係する外部の利害関係者の見解が確
実に考慮させる。
コミュニケーションのプロセスを確立するとき,組織は,次の事項を行う。
- 法的要求事項及びその他の要求事項を考慮に入れる。
- コミュニケーションする労働安全衛生情報が,労働安全衛生マネジメントシステムにおいて作成する
情報と整合し,信頼性があることを確実にする。
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムについて関連するコミュニケーションに対応する。
組織は,必要に応じて,コミュニケーションの証拠として,文書化した情報を保持する。
7.4.2 内部コミュニケーション
組織は,次の事項を行う。
a) 必要に応じて,労働安全衛生マネジメントシステムの変更を含め,労働安全衛生マネジメントシステ
ムに関連する情報について,組織の様々な階層間及び機能間で内部コミュニケーションを行う。
b) コミュニケーションプロセスが,継続的改善への働く人の寄与を可能にすることを確実にする。
7.4.3 外部コミュニケーション
組織は,コミュニケーションプロセスによって確立したとおりに,かつ,法的要求事項及びその他の要
求事項を考慮に入れ,労働安全衛生マネジメントシステムに関連する情報について外部コミュニケーショ
ンを行う。
7.5 文書化した情報
7.5.1 一般
組織の労働安全衛生マネジメントシステムは,次の事項を含む。
a) この規格が要求する文書化した情報
b) 労働安全衛生マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報
注記 労働安全衛生マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次のような理由によっ
て,それぞれの組織で異なる場合がある。
- 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類
- 法的要求事項及びその他の要求事項を満たしていることを実証する必要性
- プロセス及びその相互作用の複雑さ
- 働く人の力量
7.5.2 作成及び更新
文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
7.5.3 文書化した情報の管理
労働安全衛生マネジメントシステム及びこの規格で要求している文書化した情報は,次の事項を確実に
するために,管理しなければならない。
a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能,かつ,利用に適した状態である。
b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失か
らの保護)。
文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の活動に取り組む。
- 配付,アクセス,検索及び利用
- 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存
- 変更の管理(例えば,版の管理)
- 保持及び廃棄
労働安全衛生マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化し
た情報は,必要に応じて識別し,管理する。
注記1 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化した情報の閲覧
及び変更の許可並びに権限に関する決定を意味し得る。
注記2 関連する文書化した情報のアクセスには,働く人及び働く人の代表(いる場合)によるアク
セスが含まれる。

8 運用

8 運用
8.1 運用の計画及び管理
8.1.1 一般
組織は,次に示す事項の実施によって,労働安全衛生マネジメントシステム要求事項を満たすために必
要なプロセス,及び箇条6 で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを計画し,実施し,管理し,
かつ,維持する。
a) プロセスに関する基準の設定
b) その基準に従った,プロセスの管理の実施
c) プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつために必要な程度の,文書化した情報の維持及
び保持
d) 働く人に合わせた作業の調整
複数の事業者が混在する職場では,組織は,労働安全衛生マネジメントシステムの関係する部分を他の
組織と調整する。
8.1.2 危険源の除去及び労働安全衛生リスクの低減
組織は,次の管理策の優先順位によって,危険源の除去及び労働安全衛生リスクを低減するためのプロ
セスを確立し,実施し,維持する。
a) 危険源を除去する。
b) 危険性の低いプロセス,操作,材料又は設備に切り替える。
c) 工学的対策を行う及び作業構成を見直しする。
d) 教育訓練を含めた管理的対策を行う。
e) 適切な個人用保護具を使う。
注記 多くの国で,法的要求事項及びその他の要求事項は,個人用保護具(PPE)が働く人に無償支
給されるという要求事項を含んでいる。
8.1.3 変更の管理
組織は,次の事項を含む,労働安全衛生パフォーマンスに影響を及ぼす,計画的,暫定的及び永続的変
更の実施並びに管理のためのプロセスを確立する。
a) 新しい製品,サービス及びプロセス,又は既存の製品,サービス及びプロセスの変更で次の事項を含
む。
- 職場の場所及び周りの状況
- 作業の構成
- 労働条件
- 設備
- 労働力
b) 法的要求事項及びその他の要求事項の変更
c) 危険源及び労働安全衛生リスクに関する知識又は情報の変化
d) 知識及び技術の発達
組織は,意図しない変更によって生じた結果をレビューし,必要に応じて,有害な影響を軽減するため
の処置をとらなければならない。
注記 変更は,リスク及び機会となり得る。
8.1.4 調達
8.1.4.1 一般
組織は,調達する製品及びサービスが労働安全衛生マネジメントシステムに適合することを確実にする
ため,調達を管理するプロセスを確立し,実施し,かつ,維持する。
8.1.4.2 請負者
組織は,次の事項に起因する,危険源を特定するとともに, 労働安全衛生リスクを評価し,管理するた
めに調達プロセスを請負者と調整する。
a) 組織に影響を与える請負者の活動及び業務
b) 請負者の働く人に影響を与える組織の活動及び業務
c) 職場のその他の利害関係者に影響を与える請負者の活動及び業務
組織は,請負者及びその働く人が,組織の労働安全衛生マネジメントシステム要求事項を満たすことを
確実にする。組織の調達プロセスでは,請負者選定に関する労働安全衛生基準を定めて適
用する。
注記 請負者の選定に関する労働安全衛生基準を契約文書に含めておくことは役立ち得る。
8.1.4.3 外部委託
組織は,外部委託した機能及びプロセスが管理されていることを確実にする。組織は,
外部委託の取決めが法的要求事項及びその他の要求事項に整合しており,並びに労働安全衛生マネジメン
トシステムの意図した成果の達成に適切であることを確実にする。これらの機能及びプロ
セスに適用する管理の方式及び程度は,労働安全衛生マネジメントシステムの中で定めなければならない。
注記 外部提供者との調整は,外部委託の労働安全衛生パフォーマンスに及ぼす影響に組織が取り組
む助けとなり得る。
8.2 緊急事態への準備及び対応
組織は,次の事項を含め,6.1.2.1 で特定した起こり得る緊急事態への準備及び対応のために必要なプロ
セスを確立し,実施し,維持する。
a) 応急処置の用意を含めた緊急事態への計画的な対応を確立する。
b) 計画的な対応に関する教育訓練を提供する。
c) 計画的な対応をする能力について,定期的にテスト及び訓練を行う。
d) テスト後及び特に緊急事態発生後を含めて,パフォーマンスを評価し,必要に応じて計画的な対応を
改訂する。
e) 全ての働く人に,自らの義務及び責任に関わる情報を伝達し,提供する。
f) 請負者,来訪者,緊急時対応サービス,政府機関,及び必要に応じて地域社会に対し,関連情報を伝
達する。
g) 関係する全ての利害関係者のニーズ及び能力を考慮に入れ,必要に応じて,計画的な対応の策定に当
たって,利害関係者の関与を確実にする。
組織は,起こり得る緊急事態に対応するためのプロセス及び計画に関する文書化した情報を維持し,保
持する。

9 パフォーマンス評価

9 パフォーマンス評価
9.1 モニタリング,測定,分析及びパフォーマンス評価
9.1.1 一般
組織は,モニタリング,測定,分析及びパフォーマンス評価のためのプロセスを確立し,実施し,かつ,
維持しなければならない。
組織は,次の事項を決定しなければならない。
a) 次の事項を含めた,モニタリング及び測定が必要な対象
1) 法的要求事項及びその他の要求事項の順守の程度
2) 特定した危険源,リスク及び機会に関わる組織の活動及び運用
3) 組織の労働安全衛生目標達成に向けた進捗
4) 運用及びその他の管理の有効性
b) 該当する場合には,必ず,有効な結果を確実にするための,モニタリング,測定,分析及びパフォー
マンス評価の方法
c) 組織が労働安全衛生パフォーマンスを評価するための基準
d) モニタリング及び測定の実施時期
e) モニタリング及び測定の結果の,分析,評価及びコミュニケーションの時期
組織は,労働安全衛生パフォーマンスを評価し,労働安全衛生マネジメントシステムの有効性を判断し
なければならない。
組織は,モニタリング及び測定機器が,該当する場合に必ず校正又は検証し,必要に応じて,使用し,
維持することを確実にしなければならない。
注記 モニタリング及び測定機器の校正又は検証に関する法的要求事項又はその他の要求事項(例え
ば,国家規格又は国際規格)が存在することがあり得る。
組織は,次の事項のために適切な文書化した情報を保持しなければならない。
- モニタリング,測定,分析及びパフォーマンス評価の結果の証拠として
- 測定機器の保守,校正又は検証の記録
9.1.2 順守評価
組織は,法的要求事項及びその他の要求事項の順守を評価するためのプロセスを確立し,実施し,維持
しなければならない(6.1.3 参照)。
組織は,次の事項を行わなければならない。
a) 順守を評価する頻度及び方法を決定する。
b) 順守を評価し,必要な場合には処置をとる(10.2 参照)。
c) 法的要求事項及びその他の要求事項の順守状況に関する知識及び理解を維持する。
d) 順守評価の結果に関する文書化した情報を保持する。
9.2 内部監査
9.2.1 一般
組織は,労働安全衛生マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために,
あらかじめ定めた間隔で,内部監査を実施しなければならない。
a) 次の事項に適合している。
1) 労働安全衛生方針及び労働安全衛生目標を含む,労働安全衛生マネジメントシステムに関して,組
織自体が規定した要求事項
2) この規格の要求事項
b) 有効に実施され,維持されている。
9.2.2 内部監査プログラム
組織は,次に示す事項を行わなければならない。
a) 頻度,方法,責任,協議並びに計画要求事項及び報告を含む,監査プログラムの計画,確立,実施及
び維持。監査プログラムは,関連するプロセスの重要性及び前回までの監査の結果を考慮に入れなけ
ればならない。
b) 各監査について,監査基準及び監査範囲を明確にする。
c) 監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために,監査員を選定し,監査を実施する。
d) 監査の結果を関連する管理者に報告することを確実にする。関連する監査結果が,働く人及び働く人
の代表(いる場合),並びに他の関係する利害関係者に報告されることを確実にする。
e) 不適合に取り組むための処置をとり,労働安全衛生パフォーマンスを継続的に向上させる(箇条10
参照)。
f) 監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,文書化した情報を保持する。
注記 監査及び監査員の力量に関する詳しい情報は,JIS Q 19011 を参照。
9.3 マネジメントレビュー
トップマネジメントは,組織の労働安全衛生マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当かつ有効
であることを確実にするために,あらかじめ定めた間隔で,労働安全衛生マネジメントシステムをレビュ
ーしなければならない。
マネジメントレビューは,次の事項を考慮しなければならない。
a) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況
b) 次の事項を含む,労働安全衛生マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化
1) 利害関係者のニーズ及び期待
2) 法的要求事項及びその他の要求事項
3) リスク及び機会
c) 労働安全衛生方針及び労働安全衛生目標が達成された度合い
d) 次に示す傾向を含めた,労働安全衛生パフォーマンスに関する情報
1) インシデント,不適合,是正処置及び継続的改善
2) モニタリング及び測定の結果
3) 法的要求事項及びその他の要求事項の順守評価の結果
4) 監査結果
5) 働く人の協議及び参加
6) リスク及び機会
e) 有効な労働安全衛生マネジメントシステムを維持するための資源の妥当性
f) 利害関係者との関連するコミュニケーション
g) 継続的改善の機会
マネジメントレビューからのアウトプットには,次の事項に関係する決定を含めなければならない。
- 意図した成果を達成するための労働安全衛生マネジメントシステムの継続的な適切性,妥当性及び有
効性
- 継続的改善の機会
- 労働安全衛生マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性
- 必要な資源
- もしあれば,必要な処置
- 労働安全衛生マネジメントシステムとその他の事業プロセスとの統合を改善する機会
- 組織の戦略的方向に対する示唆
トップマネジメントは,マネジメントレビューの関連するアウトプットを,働く人及び働く人の代表(い
る場合)に伝達しなければならない(7.4 参照)。
組織は,マネジメントレビューの結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

10 改善

10 改善
10.1 一般
組織は,改善の機会(箇条9 参照)を決定し,労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を達
成するために,必要な取組みを実施しなければならない。
10.2 インシデント,不適合及び是正処置
組織は,報告,調査及び処置を含めた,インシデント及び不適合を決定し,管理するためのプロセスを
確立し,実施し,かつ,維持しなければならない。
インシデント又は不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。
a) そのインシデント又は不適合に遅滞なく対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
1) そのインシデント又は不適合を管理し,修正するための処置をとる。
2) そのインシデント又は不適合によって起こった結果に対処する。
b) そのインシデント又は不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,働く人(5.4 参照)
を参加させ,他の関係する利害関係者を関与させて,次の事項によって,そのインシデント又は不適
合の根本原因を除去するための是正処置をとる必要性を評価する。
1) そのインシデントを調査し又は不適合をレビューする。
2) そのインシデント又は不適合の原因を究明する。
3) 類似のインシデントが起きたか,不適合の有無,又は発生する可能性があるかを明確にする。
c) 必要に応じて,労働安全衛生リスク及びその他のリスクの既存の評価をレビューする(6.1 参照)。
d) 管理策の優先順位(8.1.2 参照)及び変更の管理(8.1.3 参照)に従い,是正処置を含めた,必要な処置
を決定し,実施する。
e) 処置を実施する前に,新しい又は変化した危険源に関連する労働安全衛生リスクの評価を行う。
f) 是正処置を含めて,全ての処置の有効性をレビューする。
g) 必要な場合には,労働安全衛生マネジメントシステムの変更を行う。
是正処置は,検出されたインシデント又は不適合のもつ影響又は起こり得る影響に応じたものでなけれ
ばならない。
組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
- インシデント又は不適合の性質,及びとった処置
- とった処置の有効性を含めた全ての対策及び是正処置の結果
組織は,この文書化した情報を,関係する働く人及び働く人の代表(いる場合)並びにその他の関係す
る利害関係者に伝達しなければならない。
注記 インシデントの遅滞のない報告及び調査は,できるだけ速やかな危険源の除去及び付随する労
働安全衛生リスクの最小化を可能にすることができる。
10.3 継続的改善
組織は,次の事項によって,労働安全衛生マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を継続的
に改善しなければならない。
a) 労働安全衛生パフォーマンスを向上させる。
b) 労働安全衛生マネジメントシステムを支援する文化を推進する。
c) 労働安全衛生マネジメントシステムの継続的改善のための処置の実施に働く人の参加を推進する。
d) 継続的改善の関連する結果を,働く人及び働く人の代表(いる場合)に伝達する。
e) 継続的改善の証拠として,文書化した情報を維持し,保持する。